研究課題/領域番号 |
16K09409
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 透 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80193499)
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研究分担者 |
木南 伸一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00397184)
北方 秀一 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30571658)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内視鏡的全層切除術 / センチネルノードナビゲーター |
研究実績の概要 |
本研究は、センチネルリンパ節生検により術中にリンパ節転移陰性と診断されたSM浸潤胃癌に対し、腹腔鏡操作補助下に内視鏡的に局所全層切除術及び縫合術を施行する技術の確立を目的としている。手技は(1)腹腔鏡操作によりセンチネルリンパ節の同行及びリンパ節郭清(2)内視鏡操作による局所全層切除(3)内視鏡操作もしくは腹腔鏡操作による胃壁全層縫合の3段階に大きく分けられる。(1)について、腹腔鏡操作は限られた視野と限られた鉗子の動きの中で行わなければならず、開腹手術と同等の診断精度が得られることを明らかにする。(2)について、生体ブタを用いた基礎的研究において安全性と有用性は確認され、その成果はUEGW(ヨーロッパ消化器病週間2011.10 Stockholm)において発表を行った。しかし、胃内腔から胃壁を全層で切開する際、胃が虚脱し胃内の観察が困難になり胃内容物が腹腔内に流出し腹腔内感染リスクが生じるなどの問題点を有する。これらの問題点を解決するために、胃漿膜にシリコンシートおよび生体吸収素材シートを貼り、空気や胃液の流出を防ぐ方法(seald EFTR)を開発した。(3)内視鏡操作にて縫合可能なデバイスの開発を行っており、これらが達成されれば粘膜下癌の治療の流れが変わり、患者の身体的負担が減らされるとともに医療経済的にも寄与できる。すなわち外科的治療と比較して、安全性、長期術後障害の低下、医療経済的に効率的に行えるかを明らかにしていく。現在病院の倫理委員会の承認を得て12例の臨床例に同方法での治療を行い9例の成功、経過観察中、リンパ節転移陽性3例が腹腔下の胃切除術を行っている。いずれの群においても原疾患における死亡例は認めていない。これらの結果は、この方法がSM癌の治療の選択肢としての可能性を示唆すると思われる。技術面においても上腹部小切開+腹腔鏡下全層切除から完全腹腔鏡下切除術への道のりも近いと思われる。
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