研究課題
本研究では、超音波内視鏡の新規技術を開発し、膵癌に対する早期診断・治療に応用することを目的とする。特に、1. 造影を中心とした新規超音波内視鏡画像診断技術の開発による膵癌診断能向上、2. 超音波内視鏡下穿刺における検体診断能の向上とバイオマーカー探索による膵癌予後予測、3. 前臨床研究と臨床研究による新規超音波内視鏡下治療法の開発を主な目的としている。平成28年度は、前臨床研究および臨床研究を並行して実施した。前臨床研究では、超音波内視鏡下胆管ドレナージ専用レーザーカットタイプ金属ステントを開発し、ブタを用いた閉塞性黄疸モデルにおいて合併症なく留置することに成功した(Digestive Endosc 2017 in press)。臨床研究では、肝門部悪性胆管狭窄に対して、従来のERCPによる治療が不能・不成功の症例に対して、超音波内視鏡下胆管ドレナージ術を実施したところ、76%の症例で臨床的改善が得られることを報告した(Surg Endosc 2017 in press)。また、超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ術において留置した金属ステントをプラスチックステントに変更することにより胆嚢炎の再発を防ぐことができることを報告した(World J Gastroneterol 2017 in press)。さらに、超音波内視鏡下腹腔神経叢ブロック術における効果予測因子を解析したところ、神経節と神経叢の両方のブロック、広範囲な薬液分布が、良好な効果に関係する因子であることが判明した(Therap Adv Gastroenterol. 2016; 9: 483-94.)。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度の計画では、前臨床研究と臨床研究を並行して実施することとなっていたが、両研究ともに予定通りに成果が得られ、逐次、論文発表を行っている。
平成29年度も平成28年度と同様、前臨床研究と臨床研究を並行して行っていく予定である。前臨床試験では、超音波内視鏡下胆管ドレナージ術専用デバイスを更に改良する予定である。また、肝転移巣に対する超音波内視鏡下ラジオ波焼灼術の前臨床研究も実施する予定である。臨床試験では、造影ハーモニックEUS におけるKupffer イメージングによる膵癌微小肝転移診断の有用性を検討する臨床試験、膵腫瘍性病変に対する造影下EUS-FNA の有用性を検討する臨床試験、ERCP 不成功の遠位胆管閉塞に対する超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージの最適アプローチルートを検討する臨床試験の3臨床研究が進行中であるが、平成29年度中にデータ解析を行い、成果発表する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件)
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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