研究課題/領域番号 |
16K09413
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 潤 東北大学, 大学病院, 講師 (00375081)
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研究分担者 |
下川 宏明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00235681)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 冠微小循環障害 / 冠攣縮 / 狭心症 |
研究実績の概要 |
本研究に組み込まれた症例の一部含めたにおいて198名の胸痛を訴え、心臓カテーテル検査を行い、器質的狭窄が無い症例198名を対象として血漿セロトニン濃度と冠微小循環障害の関連について検討した論文がEuropean Heart Journalに採択された。 アセチルコリン冠注による冠攣縮誘発試験中に、心表面の冠動脈に有意な攣縮が認められないにも関わらず、自然発作と同様の胸部症状、虚血性心電図変化、もしくは心筋内乳酸産生などの心筋虚血の直接・間接的所見が認められた際に、微小血管狭心症と診断した。対象となった患者198名のうち、微小血管狭心症の患者は66名(33%)だった。 本研究で着目したセロトニンは、強力な血管収縮作動作用と血小板凝集作用を有する血管作動物質として古くから知られているが、微小血管狭心症患者では、血漿セロトニン濃度が有意に上昇していた。さらに、微小血管障害の指標の一つとして知られている冠動脈造影時のTIMI frame countとも有意な正の相関関係が認められました。加えて、血漿セロトニン濃度9.55nmol/L以上である事が、微小血管狭心症の診断カットオフ値になる事を明らかとなった。多変量解析を行ったところ、血漿セロトニン濃度9.55nmol/L以上は有意に冠微小血管障害の合併と有意に相関していることが示された。ここまでの結果でとりあえずまとめて論文報告を行い、採択された。今回論文に使用したデータ以外にもアデノシン三リン酸により最大充血時に得られる微小血管抵抗指数(IMR)や冠血流予備能等を測定しており、今後それらの値とアセチルコリン負荷時の心筋内乳酸産生により診断された微小血管障害との関係性についての解析を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的の一部である、血漿セロトニン濃度が冠微小循環障害のバイオマーカーであうことを明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、冠攣縮誘発試験施行症例を本研究に組み入れることを継続して行い、今後特に冠微小循環の拡張性機能異常についてIMR等の指標を測定し、明らかにしていきたい。さらに冠攣縮誘発試験陽性例においては全例でカルシウム拮抗薬ベニジピンを服用させ、死亡・心筋梗塞の発症・心不全や狭心症の増悪による入院といった主要心血管イベントの有無を確認する共に、シアトル狭心症質問票によるクオリティオブライフ評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者および研究協力者の海外学会への参加を予定していたが、研究協力者のみが参加することとなり、当初予定していたよりも旅費を削減することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
国内および海外学会へ積極的に参加して研究発表を行う予定であり、繰り越し分と併せて執行をする。
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