研究課題
本研究の目的は、申請者らが開発した3次元心エコー解析方法を2次元画像での評価が難しい右室機能不全に着目し、臨床的に、右室機能不全の頻度、その要因、臨床的な意義、予後との関連を明らかにすることである。本研究は心エコー法スペックルトラッキング法を2次元から3次元へ、左室から右室解析へと展開させて来た申請者の研究の流れの一翼を担うものあり、申請者は本研究を遂行可能な研究基盤を有している。心疾患の予後規定因子である右室機能不全症例を診断し、さらに心臓再同期治療の右室への応用の際の右室リード位置決定診断法としての有用性を目指す。そのためにはまず、健常者および心疾患症例において、右室収縮動態・右室機能の横断的調査、右室機能に影響を及ぼす因子、さらに右室機能の運動耐容能に及ぼす影響という基礎的情報を得る。また、すでに心臓再同期療法を受けている症例のデバイス調整エコーの際に、自己脈あるいは右房ペーシング、右室単独ペーシング、左室単独ペーシング、両心室ペーシングのそれぞれの設定における右室、左室収縮伝播を経胸壁う3次元エコースペックルトラッキング法を用いて評価する。右室単独ペーシングは左脚ブロックの、左室単独ペーシングは右脚ブロックの病態と類似すると考え収縮伝播様式の観察し症例毎の多様性を詳細に検討する。具体的には、症例によっては心筋内に存在する電気的に絶縁された領域(ブロックライン)の同定が可能かに注目する。これらを基にして、右室同期不全と右室機能不全の診断を行い、心臓再同期治療のリード一の決定に3次元エコーガイドが有効かを検証する。
2: おおむね順調に進展している
最新の診断装置を備え、概ね順調に症例登録が進んでいる。ただし、予想よりも良好な画像が得られる確率が低く、解析可能症例数を十分確保するには、さらに症例頭側を進める必要が有る。また、臨床的に右心不全を解析するうちに、肺高血圧、心電図の右脚ブロック型が右室不全やその同期不全、さらには両心室間相互作用を規定する重要な因子であることを見出した。このため、研究計画を再考し、特に肺高血圧症例の登録を進めることとした。
臨床例のデータベースの解析を進め、統計学的な検討、さらには論文の執筆に向けて研究を進める。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Circulation Journal
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