研究課題/領域番号 |
16K09417
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
瀬尾 由広 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40375499)
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研究分担者 |
石津 智子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10507859)
山本 昌良 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20730386)
町野 智子 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20755673)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心エコー / 高齢者 / 心不全 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎え、心不全パンデミックの到来が予測されている。しかし、高齢者の心エコー検査データの正常基準値については報告がない。本研究は正常な後期高齢者の心形態や機能を精査し、高齢者の心エコー検査データの正常基準値となるデータを作成するだけでなく、生理的な加齢性変化を加齢のみならずフレイリティや認知機能のとの関連を含めて検討することを目的とした。 後期高齢者において、生理的な加齢による左室形態の変化について多施設からデータを得て解析を行った。最終的に計346例が登録された。そのうち生活習慣病や心不全の既往がある症例を除外し、正常と判断された182例を対象として解析を行った。 年代を75歳から79歳、80歳から84歳、そして85歳以上に分類すると、左室径にはどの年代にも性差があり、男性が有意に女性よりも大であった。しかし、体表面積補正をするとその差は消失した。また、年代間での比較では、女性は高齢になるほど左室径が小さくなった。しかし同様に体表面積補正を行うとその差は消失した。 左室駆出率は世代間に差は認められなかったが、どの年代においても女性が男性より有意に大であった。一方、左室拡張機能をみると、女性は男性よりも拡張機能が低下していた。 以上から、加齢によって左室形態に変化が認められたが、体格に依存した変化であること明らかになった。一方、拡張機能は正常な女性でも低下傾向にあり、高齢者心不全で問題となっているEF保持型心不全が女性に多いことと関連している可能性があって興味深い。また、これらの結果は高齢者において性差医学が重要であることが示唆している。 今後は研究で記録した認知機能、フレイルの評価項目と心形態および心機能との関連について検討を進めていく予定である。
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