研究課題/領域番号 |
16K09423
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
飯嶋 賢一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (20625587)
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研究分担者 |
南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心臓突然死 / 心室細動 / 電気的除細動 |
研究実績の概要 |
当初の計画に従い、共同研究者(アラバマ大学バーミングハム校、Dr. Jack Rogers、米国アラバマ州)と共に、ランゲンドルフ潅流豚摘出心(全6回)において誘発した心室細動に対する電気的除細動前後の心室内の興奮様式の記録を行った。結果、当初の仮説および予備実験の結果と同様に、心室細動が再発する際は、除細動後に出現する興奮波の分裂の多くが、右室と左室の接合部(特に前面)で発生することが確認され、同部が心室細動に対する電気的除細動の不成功に大きく関与していることが示唆された。また、興奮波面の分裂の様子を詳細に観察すると、興奮波面が同部を通過する際に、一部で伝導速度が極端に遅くなる部分が見られ、結果的にその部位に残存した不応期(興奮波の終端)が、次の興奮波面の前面に接することで波面の分裂に至ることが明らかとなった。 そこで、共同研究施設(オーバーン大学、米国アラバマ州)において、研究用高磁場核磁気共鳴画像法(MRI)を実験に用いた摘出心に適応し、心筋線維走行の解析が可能な、拡散テンソル画像を撮像し、同部において興奮伝導速度の低下および興奮波の分裂が生じやすい機序の検討を現在進めている。これまでのところ、同部では心筋線維の走行方向が右室側および左室側で著しく変化していることが同現象の機序と推定させる結果を得ている。 なお、これまでの研究の成果は本年度の学術学会(アメリカ心臓協会総会、日本循環器学会総会など)で発表することを目標に、現在準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに当初予定した実験計画、すなわち、ランゲンドルフ潅流豚摘出心における光学マッピングおよび高磁場核磁気共鳴画像法を用いた動物実験を共同研究者と共に施行し、上記の実績を得ており、現時点で本研究は当初の計画通り進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画に従い、これまでの研究で判明した心室細動の発症や除細動不成功に大きく関与すると考えられる両心室の接合部に対するカテーテルアブレーションなどの治療介入の効果と安全性を明らかにするための研究(動物実験)を進める。 また、これまでの研究の成果の公表(学会発表、論文発表)に関する活動もあわせて進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度においては共同研究施設(米国)における動物実験を多く行ったため、物品費が当初の予定よりも少なくなったことが主な原因と考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度以降は所属施設(新潟大学)における動物実験を積極的に進める予定であり、次年度使用額に関しては、そのための準備および設備の拡充を目的とした物品費に主にあてる計画としている。
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