研究課題
ヒト皮下脂肪組織から遠心分離される間質細胞に含まれている間葉系幹細胞に関して、マイクロアレイ、フローサイトメトリーによる解析を進め、その細胞表面抗原による分画比率に個体差が大きいことを確認した。さらに、間葉系幹細胞の増殖、分化能にかなりのばらつきがあり、種々の生体因子と深く関係していることが示唆された。その一つは、代謝系疾患であった。個体の代謝系疾患の有無、病勢の重さにより、獲得される幹細胞の再生能力に大きな違いが確認された。このことは、再生医療実現ならびに、標準化のために重要な知見と判断した。代謝系疾患の病勢と、得られる再生細胞の量や質との関係に影響している主因は炎症であることも示唆されていた。今後、より詳細な解析を進め、質の良い再生細胞をより効率的に採取するための因子を同定していく。マウス心筋梗塞ならびに心筋虚血再灌流障害モデルに対する皮下脂肪組織由来間質細胞投与の効果に関する検討も平行して進めた。一定の有効性は確認されるものの、投与する細胞群による個体差が大きく、有効群における細胞分画の詳細な解析を進めている。さらに、間質細胞群から多数の液性因子が分泌されていることが確認されており、それらの分泌型ペプチドの中で、臓器機能改善に関係しているであろう因子の組み合わせ解析を進めている。以上の結果から、皮下脂肪中に含まれている間質細胞群に幹細胞が一定以上含まれており、障害臓器に対する再生能力も確認された。さらに、ある種の代謝性疾患の病勢により、得られた幹細胞の再生能力に個体差があることも確認された。
2: おおむね順調に進展している
臨床サンプルから得られる皮下脂肪由来間質細胞の収集と、その細胞群に含まれている幹細胞解析は順調に進んでいる。免疫不全マウスに対するヒト由来皮下脂肪組織由来間質細胞の投与も順調に進んでいる。
前年中に得られた皮下脂肪組織由来細胞群から分離に成功した再生細胞の培養上清水による心筋梗塞モデル、心筋虚血再灌流障害モデルへの有効性を検討する。さらに、代謝性疾患の病勢による得られる細胞分泌ペプチドの違いも平行して解析していく。この際、効率的な細胞培養調整方法も検討を進めていく。
遺伝子発現解析用のマイクロアレイチップの大量購入により、定価より安価で購入することが出来たため翌年度使用試薬に回すこととなった。
遺伝子発現解析は、ほぼ完了しており、次年度に実施するサイトカインアッセイキットのサイトカインの種類を増やすことにより、繰越金を使用して、研究を進める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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