研究課題
重症心不全に対する心筋再生ならびに、重症下肢虚血に対する血管新生を目標とする再生医療確立のため、ヒトならびに、マウスにおける脂肪組織由来幹細胞(ADRC)の機能解析と動物実験を進めた。心筋再生、血管新生において、ADRC細胞群は、直接の分化誘導と、定着による臓器機能の改善だけでなく、Il-6、TNF-α、IL-1β、MCP-1などの炎症性サイトカインを抑制することによる、障害組織の炎症修飾効果により臓器機能の回復に関与していることを確認した。その中で、雑多な細胞群と言われているADRCの、細胞表面抗原の解析を進めることにより、含有細胞の中で、CD271陽性細胞が、細胞の増殖能、分化能ともに優れており、いわゆる、エリート幹細胞であることを明らかとした。特に、サイトカイン抑制能力と血管再生能力に関しては、CD271陽性細胞は、ADRC全体の3倍以上の改善が確認され、臨床応用における優位性が確認された。さらに臨床研究(ADRCによる重症心不全再生医療研究、重症下肢虚血に対する血管新生医療開発研究)の余剰サンプルの解析から、同細胞の人における優位性と安全性が確認されてきた。同時に、患者の臨床背景を解析することにより、インスリン抵抗性や、皮下脂肪組織中の炎症が、CD271陽性細胞の発現比率に大きく関与していることが明らかになった。特に、皮下脂肪組織の炎症状態をM1マクロファージとM2マクロファージの比率で分布解析したところ、炎症の増大に反比例してCD271陽性細胞の含有率が極端に低下することから、細胞組織環境が幹細胞の質に強く関与しており、これにより、幹細胞によるサイトカイン抑制効果が増減する事が示唆された。現在、これらの内容を、まとめ論文投稿中である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Heart and Vessels
巻: 2 ページ: eCollection
10.1007/s00380-019-01402-4
Journal of Gastroenterology and Hepatology
巻: 3 ページ: eCollection
10.1111/jgh.14647
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 511 ページ: 179~184
10.1016/j.bbrc.2019.02.047
Journal of Cardiology
巻: 73 ページ: 313~317
10.1016/j.jjcc.2018.12.010
Journal of Molecular and Cellular Cardiology
巻: 126 ページ: 1~12
10.1016/j.yjmcc.2018.11.002
Circulation Journal
巻: 82 ページ: 2852~2860
10.1253/circj.CJ-18-0237
Journal of Cardiovascular Electrophysiology
巻: 29 ページ: 1616~1623
10.1111/jce.13727
Autonomic Neuroscience
巻: 213 ページ: 8~14
10.1016/j.autneu.2018.04.006
BMC Cardiovascular Disorders
巻: 18 ページ: eCollection
10.1186/s12872-018-0848-7
巻: 33 ページ: 1358~1364
10.1007/s00380-018-1175-8
Biological and Pharmaceutical Bulletin
巻: 41 ページ: 828~832
10.1248/bpb.b18-00046