研究課題/領域番号 |
16K09429
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥村 貴裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60635598)
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研究分担者 |
森本 竜太 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00755499)
安田 宜成 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60432259)
坂東 泰子 (暮石泰子) 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60452190)
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心筋症 / リモデリング / Klotho-FGF |
研究実績の概要 |
本研究は,心筋におけるKlotho-fibroblast growth factor(FGF)系の発現と心機能および心形態の改善(リバースリモデリング)あるいは臨床的予後との関連を検討し,治療や発症予防における新たなターゲットとしての可能性を探索することで,臨床応用・展開するための基盤研究を行うことを目的としている。これまでに申請者らは,拡張型心筋症患者において,通常の心筋症評価で行われる心筋シンチグラフィのひとつである心電図同期99mTc-MIBI perfusion SPECTにおける潜在的心室同期指標であるLV phase entropyがその後の心血管イベントに関連し,心筋収縮関連蛋白をコードするSERCA2a mRNA発現量と相関することを報告した。また,日常診療における簡便な検査のひとつである心電図のQRS波形パターンが,拡張型心筋症患者における心筋の線維化を反映し,波形の特徴を点数化することで(QRS Index),予後を推測できる新たな指標となりうることを報告した。続いて,対象となる症例数の確保を継続し,静脈血中におけるFGF23の発現量を測定した。いっぽう,心筋検体における線維化率をcollagen volume fractionにて評価し,発現量と線維化率との関連を検討した。残念ながら両者の間に,直接的に有意な相関関係は得られなかったが,未だ統計学的に正確な解析を行えるだけの検体数での解析とはいえず,現時点でKlotho-FGF系の発現と心筋線維化を直接的に結論づけるだけの結果は得られていない。そのため,冠動静脈血中における発現量と心筋線維化との関連を検討する追加解析を計画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者らは当初,心筋疾患におけるKlotho-FGF系の発現量を測定し,収縮関連蛋白SERCA2a,phospholamban,troponin-T,troponin-Iの測定を行う計画であった。さらに,Klotho-FGF系の発現量と心筋間質の線維化を含む心筋病理学的構造変化との関連検討を予定した。本年度,静脈血FGF23の発現量と線維化率を評価したが,直接的に有意な相関関係は得られなかった。そのため,冠動脈および冠静脈血中濃度との関連を追加評価することとしている。
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今後の研究の推進方策 |
心筋疾患におけるKlotho-FGF系の発現を確認し,臨床指標との関連を検討することで,新たな治療ターゲットとしての可能性を探索し,臨床応用展開するための基盤研究を行うことが本研究の目的である。 現時点で静脈血FGF23濃度と心筋線維化との直接的な有意な関連は得られていないが,最終年度において,さらなる症例数の確保に努め,また,冠動静脈血中FGF23濃度を追加解析し,心筋発現量および予後との関連検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度,静脈血FGF23の発現量と線維化率を評価したが,直接的に有意な相関関係は得られなかった。しかしながら,統計学的に正確な解析を行えるだけの検体数を得られておらず,未使用額が生じた。 (使用計画)血液および心筋検体を用いたKlothoおよびFGF23の測定を行う予定である。さらに上記の追加解析を計画しており,昨年度からの繰り越し費用をこれに充てる。
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