研究課題
線維芽細胞成長因子-23(FGF-23)は、主に骨細胞と骨芽細胞から分泌されるホルモンである。FGF-23レベルの上昇は、腎機能障害との関連が報告されている。近年、アテローム性動脈硬化のリスクがある患者では、FGF-23の上昇が心不全および心血管死の発生率を増加させる可能性が報告されている。非虚血性心疾患たる拡張型心筋症(NIDCM)における報告は乏しく、研究代表者らは、NIDCM患者におけるFGF-23血中濃度とバイオマーカー、血行動態および予後との関連を検討した。これまでに研究代表者らは、NIDCM患者42例(平均年齢56歳、男性30例)を対象として、末梢血、大動脈(冠動脈入口部)および冠静脈洞での血液検体を収集し、血中FGF-23濃度を測定した。末梢血FGF-23濃度は、推定糸球体濾過量と有意な相関を認めることを明らかにした。末梢血FGF-23濃度は、高感度トロポニンT濃度と弱い相関を示したが、高感度C反応蛋白との間には有意な相関は得られなかった。生存解析では、末梢血FGF-23高値群は、低値群と比較して、心臓死および心不全増悪による入院で定義された複合心イベントリスクが有意に高値であった。多変量解析では、FGF-23高値群は複合心イベントの独立した予測因子の1つであった。また、重回帰分析では、推定糸球体濾過率と脳性ナトリウム利尿ペプチドレベルが、FGF-23の重要な規定因子だった。心筋生検にて採取した心筋検体における線維化率は、末梢血FGF-23濃度とは有意な相関を認めなかったが、経心臓FGF-23濃度差との間に、有意ではあるが弱い相関関係を認めた。
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Artificial Organs
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Cardiology
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