研究課題/領域番号 |
16K09432
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 成達 京都大学, 医学研究科, 助教 (20467484)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 3次元プリンター / シミュレーション / 心血管カテーテル治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は3Dプリンターを用いて患者個別データを基に作成した臓器モデルを用いた心血管カテーテル治療シミュレーターの開発及び有効性の評価である。本年度の研究開発目標は1) シミュレーター仕様確定及び2) より低コストでの3次元臓器モデル作成方法の探求の2つであった。それぞれについて述べる。 1) シミュレーター仕様確定- 今年度は患者個別データを基に重度大動脈弁狭窄症 2例、先天奇形合併心房中隔欠損症 2例の臓器モデルを作成しそれぞれ術前シムレーションを行った。我々の開発中のシミュレータープロトタイプ1号機は心臓部分のみ3Dプリンターで作成しその他の血管部分は共通のもの(母体部分)を用いていた。プロトタイプ母体部分は胸部下行~下肢動脈部分しかなく心房中隔欠損、動脈管開存症などの先天性心奇形への対応が困難であった。そのため静脈血管、また橈骨動脈を加えたシミュレータープロトタイプ2号機母体の開発も行った。 2) より低コストでの3次元臓器モデル作成方法の探求- 直接軟質素材を用いて3Dプリンターから臓器モデルを作成することが困難であるため現在は光造形法を用いて臓器モデルを作成、型どりをしてそこへ軟質素材を流し込むことにより臓器モデルを作成している。研究協力のクロスエフェクトにより直接軟質素材を打ちだせる3Dプリンターの開発が進んであり次年度、あるいはそれ以降に作成コストの低減が可能になる見込みである。 本年度は仕様確定したシミュレータープロトタイプ2号機を用いて前向きに臨床研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重度大動脈弁狭窄症 2例、先天奇形合併心房中隔欠損症 2例の臓器モデルを作成しそれぞれ術前シミュレーションを行い平成28年度の目標であったシミュレーターの仕様確定は達成した。しかしながら有効性評価のための前向きの臨床研究を施行する予定であるが作成コストの低減は研究途中であり、前向きの臨床研究はスケールダウンして施行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では今年度は仕様確定されたシミュレーターを用いて前向き臨床研究を行い有用性を評価する予定であった。しかしながら当初目標に挙げたが低コスト化が平成28年度は達成できなったためサンプルサイズを減らして臨床研究を行う予定である。現在作成したシミュレータープロトタイプ2号機は動脈-心臓部分のみでなく、静脈、橈骨動脈も備えてあり大動脈弁狭窄症以外の疾患へも展開が可能である。本年度は主に大動脈弁狭窄症以外の心血管疾患での治療困難症例を対象に術前にモデル作成、術前シミュレーションを施行し3次元臓器モデルを用いたカテーテルシミュレーターの改良を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3次元臓器モデル作成数が予定より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の3次元臓器モデル作成の費用に充当する。
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