研究課題/領域番号 |
16K09434
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福沢 公二 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (70535856)
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研究分担者 |
杜 隆嗣 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (50379418)
原 哲也 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (70547504)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心房細動 / 脂肪酸プロファイル / トランス脂肪酸 |
研究実績の概要 |
脳卒中データバンク2009によると、我が国における脳梗塞の病型別割合はラクナ梗塞が減少し、一方で食生活の欧米化や高齢化に伴う心房細動の増加により、アテローム血栓性脳梗塞および心原性脳塞栓症が増加傾向にある。特に心原性脳塞栓症は非常に予後の悪い重症脳梗塞となり、超高齢化社会を迎えた我が国において非常に重要な”Common”Diseaseとなっている。 「2015年日本人の食事摂取基準」では脂質についてその摂取量のみならず脂肪酸のバランスを含めて包括的に管理することが重要とされている。n-3系不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)およびDHA(ドコサヘキサエン酸)は「善玉脂肪酸」と考えられ、多彩な抗炎症作用や抗血小板作用を有することがすでに明らかにされているが、最近はレゾルビンをはじめとした能動的に炎症を収束させる脂質メディエーターに代謝され、その病態生理学的意義が非常に注目されている。疫学的にもこれまでに我が国で行われたJELIS試験において冠動脈疾患の予防に有効であることが証明されており、またGISSI-Prevenzione trial では抗不整脈効果と突然死の予防効果が報告されている。 我々は現在、心房細動の既往の有無で患者の血中脂肪酸プロファイルに違いがないか、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて解析を行っている。興味深いことに海外では健康被害を及ぼすことから規制対象となっているトランス脂肪酸のひとつであるエライジン酸の血中濃度が心房細動の既往を有する患者では高い傾向にあることを明らかにした。引き続きトランス脂肪酸が不整脈の発生・維持機構に直接、関与するのか検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心房細動患者と非心房細動患者の血清脂肪酸プロファイルをガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて解析し、心房細動と脂肪酸バランスとの関連性を明らかにするという当初の目的に対し一定の成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪酸バランスが心房細動の発生・維持機構に及ぼす影響について解明するとともに、当初のもう一つの目的である心房細動に伴う血栓形成へのインパクトについても検討を行う。
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