高尿酸血症を合併した左室拡張機能障害患者に対して、キサンチンオキシダーゼ阻害薬とキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有さない尿酸排泄促進薬を用いて、酸化ストレスマーカーと左室拡張機能に対する効果を検討した。本研究によって、左室拡張機能障害に、キサンチンオキシダーゼと尿酸がどのように関与しているか、また酸化ストレスが重要であるかが明らかになり、左室拡張不全に対する新たな治療法の開発につながる可能性がある。 高尿酸血症(血清尿酸値>7.0 mg/dL)を合併した左室収縮機能が正常(左室駆出率>50 %)の慢性心不全(拡張機能障害)患者20例を対象とした。本研究は、randomized double blind cross-over試験であり、20症例をランダムに2群に分類し、10例は最初にフェブキソスタットを24週間、その後ベンズブロマロンを24週間服用し、残りの10例は最初にベンズブロマロンを24週間、その後フェブキソスタットを24週間服用した。 試験開始前とフェブキソスタットおよびベンズブロマロン服用24 週後に、心エコーと尿酸代謝を検討するとともに、酸化ストレスマーカー(酸化LDL、ADMA、尿中8-OHdG)および炎症性サイトカイン(TNF-α)を検討した。 フェブキソスタットは左室拡張機能障害を有する患者の左房径およびE/e’を改善し、酸化ストレスマーカーも軽減させた.また、左室拡張能の改善と酸化ストレスマーカーには有意な相関が認められた。一方、ベンズブロマロンでは酸化ストレスマーカー及び左室拡張能ともに変化を認めなかった。 以上より、キサンチンオキシダーゼによる酸化ストレスが左室拡張障害に関与し、キサンチンオキシダーゼ阻害薬による酸化ストレス軽減により、左室拡張能が改善する可能性が認められた。
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