研究課題/領域番号 |
16K09439
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
吉賀 康裕 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00423393)
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研究分担者 |
小室 拓也 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00760787)
上山 剛 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60380010) [辞退]
清水 昭彦 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70263762) [辞退]
小林 茂樹 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90397993)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心房細動 / カテーテルアブレーション / 心房リモデリング / 循環器・高血圧 |
研究実績の概要 |
持続性心房細動(AF)の機序解明につながる薬物および非薬物療法の包括的治療戦略を確立することを目的に、以下の3つの項目に焦点を当て研究を行った。1.肺静脈(PV)/上大静脈(SVC)を標的としたカテーテルアブレーション不応性持続性AFの頻度および特徴を明確にする。2.心房基質の機能的・電気的特性の関連および非PV/SVC起源持続性AFの電気的心房基質特性を解明する。3.非PV/SVC起源持続性AFにおける薬物を用いた細胞内Ca過負荷制御による効果を確認する。当年度は、検討-1として昨年度に検討を行った持続性AFに対するアブレーション戦略としてPVを初回標的とし、再セッションでPVIが完成された状況下でのみSVCを段階的に標的とするPVおよびSVC段階的アブレーションストラテジーの結果および非PV/SVC起源持続性AFの頻度および特徴についてJournal of Cardiologyに論文報告を行った。検討-2としては持続性AFの心房基質特性を解明するために、左房の低電位領域の測定を行い、非発作性AFでは発作性AFに比して左房全ての領域において低電位領域が多く認められ、前壁、後壁、中隔、天蓋部に低電位領域が多いこと、また低電位領域が存在する予測因子として年齢、女性、左房容量、非発作性AFがあげられることを報告した。左房低電位領域と心房機能、特に左心耳機能との相関を評価するために低電位領域と左心耳血流速度の関係を検討したところ、両者に有意な相関が認められることを報告した。検討-3として細胞内Ca過負荷を制御する可能性のあるβ遮断薬のPV/SVC標的アブレーションにおける効果を評価した。上記結果を日本不整脈心電学会・アジア太平洋不整脈学会・ヨーロッパ不整脈学会・ヨーロッパ心臓病学会・日本心臓病学会・日本循環器学会の年次集会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、下記の3点を評価する必要がある。 1.肺静脈(PV)/上大静脈(SVC)を標的としたカテーテルアブレーション不応性持続性心房細動(AF)の頻度および特徴 2.心房基質の機能的・電気的特性の関連および非PV/SVC起源持続性AFにおける電気的心房基質特性を解明 3.非PV/SVC起源持続性AFにおける薬物を用いた細胞内Ca過負荷制御による効果 当年度においてPV/SVCを標的としたカテーテルアブレーション不応性持続性AFの頻度および特徴を明らかにし、すでに論文として発表している。また持続性AFの電気的および機能的心房基質特性の関連を解明し、AF患者における左房低電位領域の特徴およびその意義について国内外の主要な学会で発表している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、初年度および本年度の成果を踏まえて非PV/SVC起源持続性AFの電気的および機能的心房基質特性の解明および薬物を用いた細胞内Ca過負荷制御による効果の検討を中心に行う。具体的には1) 持続性AFにおけるPV/SVC隔離有効例と無効例とのアブレーション前治療内容 (抗不整脈薬、降圧剤治療内容)における差異や低電位領域との関連についての評価を行う。2) 持続性AFに対するPV/SVCエンピリック隔離戦略の有効性と安全性を検証する。3) 持続性AFにおける電気的心房基質と左房機能との関連についての評価をさらに進める。4) 発作性および持続性AFにおけるランジオロールを用いた細胞内Ca過負荷制御による電気生理学的効果(心房筋受攻性)を評価する。 5) PV/SVC隔離不応性持続性AFに対する細胞内Ca過負荷制御による臨床的効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ランジオロールを用いた細胞内Ca過負荷制御による電気生理学的効果(心房筋受攻性)を評価する研究の開始が遅延したため、ランジオロール購入費の使用額の請求が次年度に繰り越されたため。
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