研究課題/領域番号 |
16K09441
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
有川 幹彦 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 准教授 (20432817)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体機能利用 / 心機能保護 / 自律神経均衡 / 心筋梗塞 |
研究実績の概要 |
近年の基礎・臨床研究によって、心臓迷走神経刺激による心不全予後改善効果が明らかとなり、心不全病態における副交感神経活動の重要性とその意義、および作用機序の解明が求められている。本研究では「心不全病態における自律神経均衡の破綻が予後不良の主因である」という仮説のもと、その自律神経均衡を標的とした新規治療法の開発と予防対策の確立を到達目標に掲げ、自律神経活動を基軸とした心不全病態の包括的理解と、破綻した自律神経均衡を積極的に是正することによる心不全病態の改善を目指す。 上記仮説を検証するための動物モデルとして以下の3実験群を作製する。 ・正常マウス(wild type, WT) ・心臓迷走神経切除による心臓特異的コリン作動系非働化マウス(vagotomized mouse, VM) ・心臓迷走神経電気刺激による心臓特異的コリン作動系賦活化マウス(vagal nerve stimulated mouse, VNSM) うち、VMの安静時心拍数はWTに比べて有意に増加することが確認され、モデルが正しく作成されていることを示すことができた。現在、神経機能の評価を検討中である。また、WTでは心筋梗塞(MI)モデル作成後1週間の間に心破裂により高い死亡率を示すことを明らかにしており、それに対して心臓迷走神経切除の影響を検討する目的で、VMにおけるMI術後1週間の経過を観察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金(基盤研究(C))・課題番号(25461059)の補助事業期間を1年間延長した。平成28年度は、本事業と並行して延長事業も遂行したため、本事業の現在までの達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成28年度の研究実施計画にある1.モデル作製とその有用性の評価、および2.心筋梗塞急性期および慢性期における心機能の多角的評価(うち急性期実験)を継続するとともに、平成29年度の研究実施計画に沿って、2.心筋梗塞急性期および慢性期における心機能の多角的評価(うち慢性期実験)を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は延長事業が最終年度であったため、延長事業の研究経費を優先的に使用した。加えて、動物実験に必要な実験器具や消耗品等は延長事業と本事業の両事業において共通して使用することができ研究経費を削減することができた。これにより、本事業の研究経費の残額を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、モデル作製用の実験動物および小動物用手術器具類に加えて、本事業の遂行に必要な試薬や実験器具類の購入費と、分子生物学的解析に必要な各種抗体やRT-PCRキット、遺伝子やタンパク質の単離・精製キットなどの購入費としての使用を計画している。
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