研究課題/領域番号 |
16K09442
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大谷 規彰 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (60380408)
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研究分担者 |
肥後 太基 九州大学, 医学研究院, 助教 (10457426)
井手 友美 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90380625)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トラスツズマブ / 心毒性 / 乳癌 / 抗癌剤 |
研究実績の概要 |
本邦でのトラスツズマブ誘発性心毒性の実態把握、危険因子、可逆性因子の同定、バイオマーカーの検討を行うため、2006年から2015年までに当院で心エコーで経過観察されている乳癌患者328症例のデータベースを作成し、電子カルテベースで各症例を詳細に検討し、研究対象となる158症例を抽出した。 この158症例を研究対象とし、National Cancer Institute Common Toxicity Criteria for Adverse Event, version 4.0 (CTCAE4)に従い、トラスツズマブ誘発性心毒性発症群33症例と非発症群125症例を同定した。心毒性発症群33症例はCTCAE4に従い、等級付けおよび発症までの期間の検討を行った。 トラスツズマブ心毒性発症群と非発症群で、患者基本情報(年齢、体格指数、既往歴、生活歴、心血管病危険因子の有無、乳癌のタイプ、浸潤度、受容体発現の差異、併用化学療法の差異、アントラサイクリン系抗癌剤の影響、トラスツズマブ投与量、期間の差異)、トラスツズマブ投与前心機能(心エコー、血液検査によるバイオマーカー)を検討し、トラスツズマブ心毒性発症リスク因子を同定した。 その上でトラスツズマブ心毒性発症群と非発症群で予後に差があるか検討した。 また、トラスツズマブ心毒性発症群全例の心エコー画像を詳細に検討し、心機能の可塑性について検討し、可逆性と言われているトラスツズマブ心毒性症例の中で心機能が回復していない6症例を同定した。心機能回復27症例と非回復6症例を詳細に検討し、検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象158症例からトラスツズマブ誘発性心毒性発症群33症例と非発症群125症例を同定し、心毒性発症危険因子を同定した。 また、心機能非回復6症例も同定し、回復症例との差異を検証中である。 乳癌外科とカンファレンスを繰り返し、各症例を詳細に検討している。 経過は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
トラスツズマブ誘発性心毒性発症危険因子、心機能非回復危険因子、トラスツズマブ誘発性心毒性発症群の予後を焦点に論文とする予定。 得られた知見を学会、研究会で発表し、さらなる検討課題へ還元する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に出る血漿サイトカインバイオマーカーサンプルをまとめて測定すると安価になるため、平成29年度分は繰越しを行う
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