現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
房室結節近傍起源の心房頻拍10例と房室結節近傍起源以外の房室弁輪部を起源とする心房頻拍11例の合計21例において検討を行なった結果、すべての症例においてエントレインメントが認められた。成功通電部位は最早期心房興奮部位から平均9.0±3.2 mm離れたエントレインメントペーシングが得られた部位の方向に位置していた。成功通電部位と非成功通電部位での局所電位を比較したところ、成功通電部位では21例全例で心房電位に続きslow potentialが認められた。一方、非成功通電部位では21例中7例にしかslow potentialは認められなかった(p<0.0001 vs. 成功通電部位)。最早期心房興奮部位から非成功通電部位までの距離は最早期心房興奮部位から成功通電部位までの距離に比して有意に長かった(15.0±4.1 vs. 9.0±3.2 mm, p<0.0001)。局所の心房電位波高と心房電位幅は成功通電部位と非成功通電部位で差は認められなかった。しかし、成功通電部位のSlow potentialの電位波高は非成功通電部位に比して有意に高かった(0.04±0.05 vs. 0.1±0.04 mV, p=0.001)。また成功通電部位のSlow potentialの電位幅は非成功通電部位に比して有意に広かった(13.5±14.6 vs. 41.2±15.0 mm, p<0.0001)。以上より必須緩徐伝導路の入口部である成功通電部位において、Ca チャンネル依存性組織を反映すると考えられるSlow potentialが認められることが示された。
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