研究実績の概要 |
本年度は心筋梗塞後に惹起される炎症のタイミングでピークを迎えるのか、その動態を探るため、まずは小動物を用いた検討を行った。週齢8週のC57/BL6の左冠動脈を結紮し心筋梗塞を作成した。心筋梗塞後1,2,3および14日目に心臓を摘出し、虚血領域のみを切り出してmRNAを抽出、RT-PCRにて炎症性サイトカインの発現をSham手術群と比較検討した。それぞれの遺伝子発現をGAPDHの発現と比較したところTNFαはd1 = 3.5, d2 = 0.5, d3 = 2.6, d14 = 5.6 [-fold]と1日目に上昇しその後は減少、しかし14日目に再上昇を認めた。IL-1βはd1=50.9, d2=11.1 d3 = 29.4, d14 = 9.5 [-fold]と同様に1日目にピークを認めた。またIL-1βは再上昇せず、その後は低下した。一方でIL-6はd1 = 19.6, d2 = 20.1, d3 = 16.5, d14 = 8.6 [-fold]と2日目で急性期に継続したピークを迎え、14日目にもその低下率は鈍かった。 これらのことから、心筋梗塞後の組織炎症は1-2日目であり、その後は漸減するが、その程度はサイトカインによって異なることが示され、どのタイミングでどのサイトカインを抑制すべきかが今後の研究に焦点になると考えられた。
|