研究課題/領域番号 |
16K09454
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
加藤 倫子 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (30450886)
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研究分担者 |
黒田 揮志夫 順天堂大学, 医学部, 助手 (10772808) [辞退]
吉澤 佐恵子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40581707)
天野 篤 順天堂大学, 医学部, 教授 (70338440) [辞退]
宇都 健太 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80318071)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心不全 / 心筋障害 / 予後予測 / バイオマーカー / microRNA |
研究実績の概要 |
本研究は本邦の心不全患者の増加に伴い予防に向けた新たな対策を行うため、心血管リスクを有する患者を対象として心筋障害の進行 レベルに沿った心不全発症予測ツールを開発することを目的として開始した。心臓手術時に摘出した左室および左心耳献体を用い、蛋白解析・ mRNAの解析に加え、有力なバイオマーカー候補である microRNAを同定し、血行動態の変化を示す心エコー指標と対比させて、心筋障 害リスクを層別化する方向である。 組織検体の蛋白、DNA、RNA抽出を完了し、残存検体については線維化や心筋変性の程度について、定量および半定量解析を行った。 本研究の成果を、国際共同研究として他施設医師と連携を検討しているImproving Chronic Disease Survival, Increasing Quality of Life &Enhancing Value-Based Health Careと照らし、心不全の重症度層別化に加え、個々の患者の他臓器障害(腎臓、肝臓など)の予測や、治療介入によるfrailtyの改善予測につなげていく予定である。 また、心耳心筋ではなく、心室心筋から採取した組織および、弁膜症手術時に採取した自己弁、人工弁周囲組織についての病理学的解析は終了した。αGal抗原ー抗体反応による弁膜症術後の弁機能不全については、本研究の主題ではなく副次的になし得た発見ではあるが、論文発表準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検体数が多く、バイオマーカー解析に時間を要している。 外部委託機関であるテクノプロ(株)に組織を凍結保存して貰い、随時解析を行っているが、劣化するものもあり、十分なmRNAの抽出が不可能な組織もある。一方、良好な保存状態であった組織を抽出した上での、病理学的定量解析は終了した。エコー解析ソフトによるSpecke tracking dataと照らす作業を目下継続して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
検体数が多く、バイオマーカー解析に時間を要しているが、劣化した組織からはCa調節蛋白mRNAに焦点を絞って解析することとした。病理学的定量解析は終了し、副次的結果として、弁膜症患者における弁機能不全に関わる因子としての炎症マーカーを明らかにすることが出来たため、論文発表準備を行っている。 また、エコー解析ソフトによるSpecke tracking dataと照らす作業は、6割程度の患者で完了した。 統計学的処理には平成30年度8月頃には着手出来る見込みであり、リスク層別化モデル式を打ち立て、そのValidationは10月頃には開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた外部委託機関への解析費用について、保存状態の不良な検体等の識別を行った後、可能な検体のみでの解析と切り替えたため、予定していた支出が生じなかった。保存検体については、項目をごく一部に絞り、再度の蛋白、mRNA解析を試みるため、平成30年度の支出への計上を行う予定である。
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