研究課題/領域番号 |
16K09460
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
井澤 英夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80402569)
|
研究分担者 |
尾崎 行男 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50298569)
成瀬 寛之 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (50319266)
藤原 稚也 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60644870)
加藤 靖周 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70351012)
林 睦晴 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (70426500)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 循環器 / 心不全 / マイクロRNA / 心臓リハビリテーション / 運動療法 |
研究実績の概要 |
日本循環器学会・心不全学会が作成した最新の急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年版では、爆発的に増大する心不全に対して、運動療法がクラス1で推奨されているにもかかわらず、未だに心不全に対する運動療法の正確な機序は不明である。特に増加の一途をたどる高齢患者等では運動が困難な症例が多い。 最近、血清miRNAのバイオマーカーとしての応用が検討され始めている。腫瘍組織から分泌された特異的な血清miRNAを同定することで悪性腫瘍をターゲットとしたバイオマーカーとしての有用性が模索されている。同様に脳卒中や急性冠症候群等の冠動脈疾患、大動脈瘤等の動脈硬化性心血管疾患に特異的な血清miRNAも報告され、バイオマーカーとしての臨床応用が期待されている。2017年度は、運動療法前後で発現が変化する血液中miRNAを同定して、そのmiRNAのターゲットとなるタンパクを解明することで、心不全における運動療法の分子機序を解明するとともに、運動療法と同じ効果を有する新薬開発に必要な治療ターゲットを探索することを目的に研究を実施した。心不全患者および健常対照者の血清を用いてマイクロアレイによる発現プロファイリングを本年度実施した結果、心不全患者では健常対照群と比較して90種類のmiRNAが血清中で有意に (p< 0.05) 発現低下し、77種類のmiRNAが血清中で有意に (p< 0.05) 発現亢進することを認めた。一方、運動療法により運動療法前と比較して運動療法後に11種類のmiRNAが血清中で有意に (p< 0.05) 発現がし低下し7種類のmiRNAが有意に発現が低下した。健常対照群と比較して心不全患者の血清で異常発現していたmiRNAの中で運動療法により発現レベルが正常化方向へシフトしたmiRNAが8種類あることを見いだした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動療法を実施する症例がやや少なく、今後の症例登録に若干の心配があるが、現時点ではおおむね順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度の研究結果から心不全患者の血清中で健常対照群と比較して異常発現しているmiRNAの中で、運動療法により発現レベルが正常化へシフトすることが明らかとなったmiRNAについて、2018年度は運動療法を行った別の患者グループの血清を収集して、定量的RT-PCRによりmiRNAの発現レベルを定量評価する。 本研究の結果、運動療法前後で変化する血液中miRNAを同定し、心不全に対する運動療法の分子生物学的機序の解明を目指す。また、運動療法前後で変化する血液中miRNAが同定されることで、運動が困難な高齢患者が爆発的に増える中、心不全に対して運動療法と同じ効果を有する新規治療薬の開発へとつながる治療ターゲット発見を目指す。
|