研究課題
目的は薬物負荷ダイナミック造影CTによる定量的心筋血流量の測定方法を検討することである。方法は薬物負荷時と安静時にダイナミック造影CTを行い、心筋全 体の時間減衰曲線を得た。その時間減衰曲線のアップスロープ、ピーク直後のワンショット、クリアランスの三相からコンパートメントモデルを用いて心筋血流 量(ml/min/g)を計算した。対象は7例(正常2例、一枝病変2例、三枝病変1例、陳旧性心筋梗塞2例)。薬物負荷タリウム心筋シンチも全例で行った。心筋を17 セグメントに分割し、セグメント毎にCTから算出した心筋血流量とシンチから求めた%uptakeを比較した(心尖部は除外)。結果は一枝病変の1例では負荷時の ワンショットとクリアランスから算出した心筋血流量と%uptakeは有意な相関を認めたが、アップスロープから算出した心筋血流量と%uptakeは相関を認めな かった。もう1例の一枝病変は負荷時のクリアランスから算出した心筋血流量と%uptakeのみで有意な相関を認めた。正常例では心筋血流量と%uptakeは有意な 相関を認めなかったが、心筋血流量の低下は認めなかった。三枝病変では心筋血流と%uptakeは有意な相関を認めなかったが、正常例とは異なり、心筋血流量の 低下を認めた。心筋梗塞例では、負荷時も安静時もワンショットとクリアランスから算出した心筋血流量と%uptakeは有意な相関を認めたが、アップスロープか ら算出した心筋血流量と%uptakeは相関を認めなかった。結論としては薬物負荷ダイナミック造影CTから算出した心筋血流量のうち、ワンショット、クリアラン スから算出したものが、心筋シンチの%uptakeと良い相関を認めた。