研究課題
心房細動(AF群)あるいは発作性上室頻拍症(対照群)に対してカテーテルアブレーション治療を予定された患者から、焼灼治療を行う前に心臓特異的な現象を反映する冠状静脈血(CS)と、臨床バイオマーカーの評価に用いる末梢血(中心静脈血、CV)を採取し、定量PCR法を用いて血中マイクロRNA(miRNA)の発現を解析した。基礎研究でAFの病態との関連が報告されている遺伝子を測定したところ、心臓特異的に発現し(CS検体で発現)、それが末梢血に反映(CV検体でも発現)されているmiRNAが存在することを確認した。そして、CS検体においてAF群と対照群の間で発現差を認め、かつCV検体でもその発現差が反映されているmiRNAをAFの病態関連バイオマーカーの候補と考えた。複数のmiRNAの血中プロファイルを評価するツールとして次世代シークエンサー(NGS)を用いた。NGSで網羅的解析を行い845のmiRNAを検出した。CS検体でAF群と対照群の間で発現量の差が大きかったmiRNAを評価したところ、既知の病態関連遺伝子(miR-26、miR-27、miR-133、miR-30など)に加えて、未報告の遺伝子(miR-20、miR-330、miR-204など)も多く抽出された。この中からCV検体でもCS検体と共通の発現差を認めたmiRNAを抽出した。さらに、これらの遺伝子に関しては別の患者群の検体を用いて定量PCR法で再度評価し、NGSの結果の妥当性を確認した上で臨床バイオマーカーの候補miRNAとした。現在は新たな患者群から血液検体を採取し、候補miRNAの血中プロファイルを測定することで、AFの治療効果や新規AFの発症などを予測できるかどうかの検証を進めている。さらに、未報告のmiRNAに関しては基礎実験による機能解析の準備を進めている。
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