研究課題
心筋症は、依然として予後不良の疾患である。心臓MRIはその非侵襲性、被曝がないことから、日常臨床でも多く用いられるようになってきた。新しい心臓MRIによる心筋の質的診断―T1マッピング法は、組織が固有のT1緩和時間をもつことを利用し、組織ごとのT1値(Native T1)から、造影剤の使用なしに、ガドリニウム造影遅延像と同等の情報を得ることが可能となった。本研究の目的は、CMRのT1マッピング法のデータと、他の方法(ガドリニウム遅延造影など)で得られる情報との比較検討により、T1マッピングの心筋症の診断・重症度の判定・予推定にどのように用いられるべきであるかについて包括的に検討することを目的としている。2017年1月より、心臓MRI検査にて、ルーチンでT1mapping撮影を追加し、それらの解析が、2017年12月より可能となり、また専用のワークステーションを2018年3月購入し、その後画像解析を順調に行った。症例数は130症例で、T1mappingて得られる値と背景疾患については解析を行い、心機能、臨床像との解析、遅延造影部との比較を行い、米国心臓病学会にて(2019年3月)発表を行った。さらに、追加解析を行い論文投稿中である。また心臓サルコイドーシスの症例にて心臓MRIとFDG-PET画像のfusion画像が有用であった症例を経験し、論文作成投稿を行い、European Heart Journal Heart Failureにアクセプトされた。今後は心筋生検をおこなった症例では、その組織像と比較検討を行う予定である。また、症例の5年後、10年後の予後を検討することにより、心筋症の実態把握と生理的な意義について解析し、将来的な治療方針改変につなげたいと考える。
すべて 2019 2018
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European Heart Journal Heart Failure
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