研究課題
本研究では、心不全および心腎機能障害進展におけるバゾプレッシン系と交感神経系のクロストークを心腎脳ネットワークの観点より検討し、その修飾による新規治療の可能性を探ることを目的としている。具体的には、【課題A】心不全におけるV1a受容体、V2受容体と交感神経系の相互連関作用の検討、【課題B】敗血症ショックモデルにおけるバゾプレッシン系と交感神経系の役割の検討、【課題C】バゾプレッシン系―交感神経系におけるmiRNA制御と心不全・心腎機能障害との関わり、からなる.平成28-29年度は、敗血症性心筋障害モデルに、腎臓交感神経切除を施行し、心機能障害の発現および生命予後が改善されることが明らかになった。さらにはバゾプレッシン受容体ノックアウトマウスにおける腎臓交感神経切除術の施行は、更なる心腎機能改善および生命予後改善をもたらすことも明らかになり、両システムにおいて独立した制御系が存在する可能性が考えられた。H30年度は、上記の制御メカニズムの検討を行った。腎交感神経切除術の結果から、腎臓での局所交感神経制御にはバゾプレッシン系が上流で作用していること、心臓では全身性交感神経過剰反応もまたバゾプレッシン系の制御を受け心臓局所の交感神経障害を軽減し、そのことが心機能障害の改善に関与することが明らかになった。また、心不全モデル動物を用いて、β遮断薬のみならず、洞房結節に直接作用し直接心拍数低下させるイバブラジンも全身および心臓感神経活動を抑制すること、更にはそれを介しバゾプレッシン系にも作用することを明らかにしそこでのクロストークの存在も明らかにした。そのことが結果として心機能障害の進展阻止の働いていると考えられた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Cardiovascular Pharmacology and Therapeutics
巻: in press ページ: in press
10.1177/1074248419829168