研究課題
我々のグループは、急性冠症候群の発症メカニズムを、光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)を用いて検討している。これまでにOCTを用いin vivoでのプラーク内新生血管の評価法を報告した。冠動脈プラーク内における脆弱な三次元構造を有する新生血管の形成はプラーク不安定化の起点である。その中でも新生血管は一様でなく、動脈硬化のそれぞれの過程おいて形態が変化していることを報告した。特に珊瑚状の形態をした新生血管は、脂質を多く含む不安定プラークに多くみられた。我々はプラーク破綻のメカニズムを解明するために経皮的冠動脈形成術予定の急性冠症候群患者を対象とし、末梢血および冠動脈血を採取した。また責任病変の形態評価のためにOCTを行っている。冠動脈血中のMatrix metalloproteinase 9が急性冠症候群の臨床表現型の決定に寄与していることを明らかにした。また急性冠症候群患者の冠動脈血中のcell free DNAと、OCTで評価した責任病変形態(特に脂質角度、Cavity area等の不安定プラークの指標)と正の相関していることを報告した。プラーク内新生血管とVEGFを含む各種の炎症性バイオマーカーとの関連は引き続き検討中であり、一部成果を報告した。また一方で急性冠症候群の急性期のスタチン投与が、不安定プラークの安定化に与える影響について検討しており、スタチンを急性冠症候群発症早期に投与することで、投与しなかった群に比較して、OCTで観察した不安定プラークの線維性被膜の厚さが増加し、プラークが安定化することを論文として報告している。その他冠動脈プラーク内のコレステロール結晶と急性冠症候群の発症の関連についても報告した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件)
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