研究課題/領域番号 |
16K09485
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
古賀 政利 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (30512230)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 頭蓋内動脈解離 / 抗血栓療法 / 3T MRI / T1強調画像 / 脳梗塞 / くも膜下出血 / 椎骨動脈 |
研究実績の概要 |
国際頭蓋内動脈解離前向き観察研究(I-IDIS)プロトコールの和訳し、所属施設の倫理委員会へ申請し2016年9月5日に承認を取得した。2016年10月よりI-IDISへの症例登録を開始し現在12例を登録し前向きに1年間のフォローアップを行っている。 また後ろ向き研究を追加し2011年から2016年に入院加療した頭蓋内動脈解離63例のデータを収集した。平均年齢は52例、16例(25%)が女性であった。高血圧を35例(56%)、喫煙を39例(62%)に認めた。血液凝固異常症や結合織病の合併はなかった。脳梗塞発症は36例(57%)、一過性脳虚血発作は2例(4%)、くも膜下出血は4例(6%)であった。動脈解離を認めた頭蓋内血管は椎骨動脈が45例(71%)と最多であった。治療では抗血栓療法なしが25例(40%)、抗血小板療法11例(17%)、抗凝固療法7例(11%)、併用20例(32%)であった。入院中の脳出血は併用群1例(2%)、くも膜下出血は併用群1例(2%)・抗血栓療法なし群1例(2%)であった。3ヵ月後日常生活完全自立(mRS0-1)は抗血小板療法群8例(73%)、抗凝固療法群5例(83%)、併用群14例(78%)と差がなかった(p=1.00)。後ろ向き研究から治療の内容にかかわらず頭蓋内出血頻度は少なく、3ヵ月後日常生活完全自立は約8割であった。また脳血管造影検査と3D T1 blood black sequenceを含む高解像度MR(HR-MRI)Iの両方で評価した37例を解析しHR-MRIの有用性を検討した。脳血管造影検査のみに比べるとHR-MRIを加えることで確定診断例が13例から29例まで改善した。HR-MRIの使用により頭蓋内動脈解離の診断正度が改善することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前向き観察研究(I-IDIS)の目標症例数は60例であるが現在12例の登録とやや遅れがある。主な原因は倫理委員会申請や承認に時間を要し登録開始が2016年10月になったことである。
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今後の研究の推進方策 |
前向き観察研究(I-IDIS)の症例登録およびフォローアップを継続する。 後ろ向き研究の成果を学会発表し論文化を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
特殊凝固系血液検体の測定は検体が集まってからの測定を予定している。昨年度は10月から症例登録を開始し12例の症例を登録したが、まだ特殊凝固系血液検体の測定を行っておらず本年度以降に行う予定である。また昨年度は前向き研究の準備を主に行ったために発表する研究成果がなく学会や会議参加のために旅費として使用していない。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は特殊凝固系血液検体測定に約20万円、研究成果の発表や情報の収集のための学会参加旅費のために約60万円を使用する。また欧州のCADISP-plusの会議に参加するための旅費として約30万円に使用する。その他物品費用に15万円を使用する。
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