研究課題/領域番号 |
16K09485
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
古賀 政利 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (30512230)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 頭蓋内動脈解離 / 高解像度3D T1 / 椎骨動脈 / 頸部血管エコー / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
後ろ向き研究では頭蓋内動脈解離連続63例の詳細な検討を行った。2015年のDebetteらの診断基準に従って検討すると、通常のMRI/MRA検査に比較して高解像度3T T1画像により動脈解離の壁内血腫検出率が高かった(14%対53%、p<0.001)。頭蓋内動脈解離を診断するために19%ではフォローアップ画像検査が必要であった。また6ヵ月以上(平均1.8年)頭部MRA検査でフォローアップした51例を検討したところ8例に脳梗塞再発が起こった。そのうち7例は頭蓋内動脈解離発症15日以内で1例は686日後であった。経過中に90%で経時的な血管形態の変化を認めた。このうちの8割では形態学的な改善があり、2割では形態学的増悪を認めた。椎骨動脈解離26例で頸部血管エコーによる血流速度変化の検討を行った。MRA上10例(28%)で椎骨動脈狭窄の進行があった(狭窄進行群)。狭窄進行群では非進行群に比較して経時的な拡張末期血流速度比(EDV比)が低く(0.34±0.63対1.05±0.39、p<0.01)、pulsalty index比(PI比)が高かった(1.95±0.76対0.85±0.30、p<0.01)。受診者操作特性曲線解析では、EDV比0.54未満でAUC0.87(p<0.01)、感度87.5%、特異度93.3%、PI比1.17超でAUC0.93、感度88.9%、特異度82.3%で椎骨動脈狭窄の進行を予測するのに有用であった。 国際頭蓋内動脈解離登録研究(I-IDIS)では平成29年度に11例(計23例)を登録し1年間のフォローアップを行っている。中間解析ではイタリアPisa大学に続き世界第2位の登録状況であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際頭蓋内動脈解離登録研究(I-IDIS)の目標症例数は5年で60例であるが、現在23例の登録である。後ろ向き頭蓋内動脈解離連続例の詳細な検討に関しては国際学会で4演題の発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
国際頭蓋内動脈解離登録研究(I-IDIS)の登録を継続して行う。 前向き登録症例の脳梗塞発症やくも膜下出血発症状況と凝固系採血マーカーの関連を検討する。 後ろ向き研究結果に関して論文化をすすめる。 関連遺伝子の解析を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成30年度に遺伝子検討を行うために研究費を持ち越した。 (使用計画)ゲノムワイド関連研究(GWAS)を使用して頭蓋動脈解離に関連する候補遺伝子の検討を行う。欧州で報告されている候補遺伝子(PHACTR1など)を参考に日本人において同様に関連があるかを調べる。文科研スタートアップに申請する井建一郎医師の研究と合わせてGWAS1検査1.5万円で50から100例程度の検討を行うことを計画している。
|