研究課題
後ろ向き研究では、1.頭蓋内動脈解離で脳梗塞発症、クモ膜下出血発症、頭痛のみを含む105例を対象に来院時の好中球・リンパ球比(NLR)と脳卒中発症病型との関連および3ヶ月後の機能転帰との関連を調べた。NLR高値はくも膜下出血と独立して関連していた。またNLR高値は3ヶ月後の転帰不良(modified Rankin Scale 3-6)と関連していた。来院時NLRにより発症病型と3ヶ月後転帰を予測できる可能性がある。2.発症から1週間以内に脳血管造影検査を施行した頭蓋内動脈解離94例を対象に、血管形態変化と虚血性脳卒中および出血性脳卒中の関連を調べた。String sign(狭窄)(補正オッズ比5.49、95% 信頼区間1.16-29.41)は虚血性脳卒中に独立して関連していた。Intimal flap(9.53、2.86-37.48)もしくはdouble lumenとfusiform irregular aneurysmal dilatation(9.96、2.16-72.07)は出血性脳卒中に独立して関連していた。頭蓋内脳動脈解離に対する抗血栓療法の適応は血管造影所見などの血管形態変化に基づいて有効性と安全性を検討していく必要がある。前向き研究である国際頭蓋内動脈解離登録研究(I-IDIS)では、2018年11月までに世界で79例が登録され、そのうち34例を登録した。2019年3月までに38例を登録した。現在のところフォローアップ中のイベントは脳梗塞1例、クモ膜下出血なし、死亡なしである。イベントが少ないために凝固線溶系マーカーとの関連の検討が困難となっている。頭蓋内動脈解離59例の関連候補遺伝子の検討を開始した。
3: やや遅れている
国際頭蓋内動脈解離登録研究(I-IDIS)の世界全体での登録目標症例数は500例で、当施設からは60例である。現在3年間で39例を登録している。フォローアップ中のイベント数が少なく、抗血小板薬や抗凝固薬などの治療選択および凝固線溶マーカーとの関連の検討が困難である。後ろ向き頭蓋内動脈解離の詳細な検討に関しては国際学会で3演題発表した。候補遺伝子の検討では頭蓋外頸動脈解離59例に関連するPHACTRA1、RNF213との関連の検討を開始した。
後ろ向き研究の解析結果の論文化をすすめている。放射線学的特徴に関する検討は英文誌に掲載された。頸部血管エコーによる椎骨動脈解離狭窄の進行の検出に関する論文はリバイス投稿中である。長期フォローアップに関する検討内容は投稿準備中である。欧州の3つのコホート(Finland、Netherlands、Switzerland)とデータを統合し人種差などを検討することを計画している。前向き登録研究である国際頭蓋内動脈解離登録研究(I-IDIS)には引き続き症例を登録し60例の登録を目指す。動脈解離に関連が示されている候補遺伝子の検討をすすめていく。
血栓止血学的検討と遺伝子学的検討に想定以上の時間を要したため1年間の延長を申請し承認を受けた。血栓止血学的検討は前向き登録症例を対象に行なっており、フォローアップ中の脳梗塞発症1例とクモ膜下出血発症0例、死亡0例であり、イベントとの関連を検討することが困難になっている。遺伝子学的検討ではPHACTR1とRNF213遺伝子の検討を行う。研究成果の学会発表、論文化を行う。
International Intracranial Dissection Studyhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02756091
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J Stroke Cerebrovasc Dis
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10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2019.02.019.
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