研究課題/領域番号 |
16K09487
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研究機関 | 公益財団法人先端医療振興財団 |
研究代表者 |
加地 修一郎 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (80330554)
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研究分担者 |
千田 道雄 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, その他 (00216558)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 急性大動脈症候群 / 大動脈解離 / 偽腔閉塞型大動脈解離 / 偽腔開存型大動脈解離 / PET-CT検査 |
研究実績の概要 |
本研究は、急性大動脈症候群例において、PET-CTで観察される、大動脈壁内の炎症細胞浸潤を示唆する18F-FDGの集積と、患者の予後との関係を検討することを目的としている。平成29年度は、平成28年度に引き続き、患者登録と急性期および慢性期PET-CT検査を施行した。急性期のPET検査では、すべての症例で解離した大動脈壁内に18F-FDGの取り込みを認め、炎症細胞の浸潤が示唆された。18F-FDGの集積を大動脈全体にわたって定量評価するために、大動脈走行に沿った長軸方向に、胸部大動脈の解離部位を同定し、すべての断面にわたっての取り込みをtotal FDG activity(全FDG集積量)として評価し、患者の臨床経過と比較した。その結果、急性期の全FDG集積量が高い症例ほど、経過中に有意に大動脈関連事象が多かった。この結果は、急性大動脈症候群例において、PET-CT検査により、大動脈壁内の炎症所見を評価することによって、リスクの層別化が可能であることを示唆している。平成29年度は、偽腔の形態と全FDG集積量の関係、また全FDG集積量と臨床経過の関係を検討し、結果を投稿中であるが、いくつかの問題を指摘されたため、さらに解析を進めている。また、平成29年度は、慢性期の症例の登録が進んだため、急性期と慢性期のPET-CT所見を比較検討した。その結果、全FDG集積量は、急性期に比較して慢性期には有意に低下していた。ただし慢性期にも18F-FDGが集積している症例もあり、その臨床的意義を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例登録が順調に進んでおり、急性期および慢性期PET-CT検査が遂行できている。ほぼ全ての例で、外来で経過観察が進行中であり、大動脈関連事象などの臨床経過が集積している。
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今後の研究の推進方策 |
PET-CT検査により、リスクの層別化が可能かどうかを検討するためにさらに症例登録を増やす予定である。特に解離した偽腔の形態と関連付けて、臨床経過と急性期および慢性期のPET-CT検査の所見を比較検討し結果を発表する予定である。また穿通性粥状硬化性大動脈潰瘍などの、急性大動脈解離の亜型と考えられている比較的稀な疾患についても、症例登録を進めて、PET-CT所見について、新しい知見を得たいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定のソフトウェアおよびハードウェアを使用して画像解析および統計解析を施行する予定だったが、データ集積の都合で、計画した解析を次年度にすることになったため購入を先送りした。次年度は解析用のソフトウェアとハードウェアを新規購入し、急性期および慢性期のPET-CT画像と臨床経過を解析、検討する予定である。
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