研究課題
ヒト大動脈弁標本、ブタ大動脈弁間質細胞、ワイヤー傷害石灰化大動脈弁狭窄(CAVS)マウスを用いてCAVSとmicro RNA(miR)の関連について検討した。CAVS患者と大動脈弁逆流(AR)患者の大動脈弁標本を用いて、石灰化への関与が報告されている10個のmiRの発現をqRT-PCRを用いて調べた。CAVS群においてmiR-34aを含む6個のmiRの発現が亢進していた。CAVS群では石灰化を促進するRunx2 の発現が亢進し、Runx2の発現を抑制するNotch1の発現が低下していた。ブタ大動脈弁間質細胞を石灰化誘導培地で刺激すると、miR-34aの発現は亢進した。またRunx2の発現は亢進し、Notch1のmRNAの発現は低下した。ブタ大動脈弁間質細胞においてmiR-34aを過剰発現させると、Notch1の発現が低下し、Runx2の発現および石灰沈着が亢進した。miR-34a抑制により、Notch1亢進、Runx2抑制を介し、石灰沈着が抑制された。Notch1 mRNAを用いたルシフェラーゼアッセイおよびプルダウンアッセイにより、ブタ大動脈弁間質細胞においてmiR-34aはNotch1の発現を直接調節していることが示された。CAVSマウスへLocked Nucleic Acid (LNA) miR-34a inhibitorを投与すると、ワイヤー傷害後8週での大動脈弁の肥厚および石灰化が有意に抑制された。免疫染色ではLNA miR-34a inhibitorの投与によりマウス大動脈弁でRunx2の発現が低下していた。miR-34a抑制は大動脈弁組織の石灰化を抑制することが示唆された。
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