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2016 年度 実施状況報告書

ATP可視化マウスによる心筋梗塞でのATP変動の時間的空間的解析と生理学的意義

研究課題

研究課題/領域番号 16K09491
研究機関群馬大学

研究代表者

小板橋 紀通  群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10420093)

研究分担者 倉林 正彦  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00215047)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードエネルギー代謝 / 虚血 / 可視化技術
研究実績の概要

心臓はアデノシン三リン酸(ATP)を高速で加水分解して機械的エネルギーに変換するため、エネルギー産生障害時にはATP貯蓄は数秒以内に枯渇する。我々は急激なATP濃度の変化を可視化するFRET蛋白質を利用してATP変動を全身で計測できるマウスを開発した。このマウスを用いて心臓のATP量を、急性および慢性の負荷をかけて経時的に調べたところ、心臓のATP濃度は酸素消費量の変化とともに変動することが分かった。一方、冠動脈結紮による急性の心筋虚血を引き起こすと、局所で著明なATPの増加を認めた。この一過性のATPの上昇は虚血直後から15分程度認め、再灌流で回復した。ルシフェラーゼ法およびHPLC法でATPのFRETと同様の変化が捉えられたが、その変化は軽度であった。感度の違いなのか、FRETの組織内観察深度の問題なのかを今後検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

心臓はアデノシン三リン酸(ATP)を高速で加水分解して機械的エネルギーに変換するため、エネルギー産生障害時にはATP貯蓄は数秒以内に枯渇する。我々は急激なATP濃度の変化を可視化するFRET蛋白質を利用してATP変動を全身で計測できるマウスを開発した。このマウスを用いて心臓のATP量を、急性および慢性の負荷をかけて経時的に調べたところ、心臓のATP濃度は酸素消費量の変化とともに変動することが分かった。一方、冠動脈結紮による急性の心筋虚血を引き起こすと、局所で著明なATPの増加を認めた。この一過性のATPの上昇は虚血直後から15分程度認め、再灌流で回復した。
A-1) ミトコンドリア特異的GO-ATeamノックインマウス 現在作成中。
A-2) FAT欠損マウス 脂肪酸トランスポーター (FAT: CD36) 欠損マウスをATP可視化マウスと掛け合わせて、脂肪酸取り込みが低下したモデルをつくり、ATP上昇率を野生型と比較検討したが現時点では有意な変化を認めていない。
A-3) ストレプトゾシン誘導性糖尿病モデル ATP可視化マウスにストレプトゾシンを腹腔内投与して、インスリンの分泌を低下させ、インスリン依存型糖尿病モデルを作成する。投与後4-8週で血糖値を測定し、十分糖尿病状態になったのを確認し、非糖尿病マウスと比較したが、ベースラインで変化はなかった。
A-4) Panx1 欠損マウス 心筋細胞や心房の細胞において、ストレッチ刺激などでATPが細胞外に出ることが報告されている。この細胞外ATPはギャップジャンクションファミリーであるPannexinを介する。そのためPanx1 欠損マウスを入手の手続きを現在進めている。

今後の研究の推進方策

心筋細胞のATP代謝異常を呈するマウスや病態についてATP可視化マウスを使い、主に冠動脈結紮時の反応について詳細に検討する。ATPは心臓組織を採取する際、心停止させてハサミなどで採取する数秒のうちに、失活し、生体内での濃度を生化学的に測定するのが困難である。そのため、マイクロウェーブアプリケーター(室町) を用いた組織固定法で、心筋梗塞作成直後に心筋組織を瞬間的に固定して、虚血領域と非虚血領域で心筋組織中のATP濃度をルシフェラーゼ法もしくはHPLC法で測定する。虚血直後、5, 10, 20, 30, 60分後で虚血領域、非虚血領域のATP量を定量化し、FRETの変化を生化学的にも確かめる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ATP可視化マウスによる疾患病態の解明2016

    • 著者名/発表者名
      小板橋紀通、山本正道、磯達也、倉林正彦
    • 学会等名
      第16回日本抗加齢医学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-06-10 – 2016-06-12
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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