研究課題/領域番号 |
16K09493
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 憲彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (40422307)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炎症 / 心臓リモデリング / 線維化 |
研究実績の概要 |
心不全病態の心筋組織にはマクロファージをはじめとする炎症細胞が浸潤することが報告されている。これら心筋組織における炎症プロセスは、心肥大、心不全病態の進展および回復過程において重要な役割を果たしていると考えられるものの、その詳細な機構は未だ明らかではなかった。我々はこれまでマクロファージにおけるHIF-aを介する低酸素シグナルが炎症プロセスの活性・終息、およびその低酸素領域への遊走において中心的な役割を果たしている事を明らかにしてきた。本研究において、我々はマウス上行大動脈圧負荷による心肥大・心不全病態モデルと併せて、圧負荷解除による心肥大・心不全退縮モデルを用いて、心臓リモデリングにおける炎症シグナルの役割とその分子実態を明らかにすることを目指す。 平成28年度においては、圧負荷後の心臓リモデリングにおける炎症細胞の挙動につき解析をおこなった。その結果、圧負荷後の心筋組織に集積する炎症細胞が、心臓線維化、心臓リモデリングにおいて重要な役割を果たしている事を確認した。現在、その分子機構の詳細の解明を進めており、マクロファージ由来の心臓線維化制御因子につき探索を行っている。これらの知見は炎症プロセスと組織リモデリングにおける新たな分子機構と考えられる。平成29年度においては引き続きその分子実態を同定すると共に、心肥大・心不全退縮モデルにおいて集積する炎症細胞の挙動につき解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心不全病態の心筋組織にはマクロファージをはじめとする炎症細胞が浸潤することが報告されている。これら心筋組織における炎症プロセスは、心肥大、心不全病態の進展および回復過程において重要な役割を果たしていると考えられるものの、その詳細な機構は未だ明らかではなかった。本研究では、心臓リモデリングにおける炎症シグナルの役割とその分子実態を明らかにするために、マウス上行大動脈圧負荷による心肥大・心不全病態モデルと併せて、圧負荷解除による心肥大・心不全退縮モデルを用いた解析を開始している。 平成28年度においては、圧負荷後の心臓リモデリングにおける炎症細胞の挙動につき解析をおこなった。その結果、圧負荷後の心筋組織に集積する炎症細胞が、心臓線維化、心臓リモデリングにおいて重要な役割を果たしている事を確認した。今後引き続きその分子実態および心肥大回復の分子機構の解明を継続する予定である。以上より、現在までの研究状況についてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はマウス上行大動脈圧負荷による心肥大・心不全病態モデルと併せて、圧負荷解除による心肥大・心不全退縮モデルを用いて、心臓リモデリングにおける炎症シグナルの役割とその分子実態を明らかにすることを目的としている。 平成28年度においては、圧負荷後の心臓リモデリングにおける炎症細胞の挙動につき解析をおこなった。その結果、圧負荷後の心筋組織に集積する炎症細胞が、心臓線維化、心臓リモデリングにおいて重要な役割を果たしている事を確認した。平成29年度においては、その分子機構の詳細の解明を更に継続し、マクロファージ由来の心臓線維化制御因子につき探索を行う。また、心肥大・心不全退縮モデルにおいて集積する炎症細胞の挙動につき解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、平成28年度に心筋細胞灌流単離システムの構築に必要な試薬、備品を輸入して購入する予定であった。しかしながら一部の機器につき、製造元の事情から納品が遅れてしまい、平成29年度に購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
心筋細胞灌流単離システムについては、平成28年度においては学内の他の研究室に協力頂き、利用させて頂く事ができた。その結果、平成28年度の研究計画については当初の予定通り進展させることが出来た。平成29年度については、当研究室にシステムを構築し、予定通り研究計画を遂行する所存である。
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