研究課題
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は心保護座要を持つ生理活性ペプチドで、心負荷に応じて主に心室から分泌され、心不全のバイオマーカーとしてその有用性が確立している。近年BNPの前駆体であり、生理活性の弱いproBNPが血中に存在し、不全心において、その分泌が亢進していること、proBNPは糖鎖修飾されていることことなどが報告されてきた。本申請研究では、proBNPの糖鎖修飾・分泌調節に関与するO型糖転移酵素GALNTの役割及びそのmicroRNAなどによる発現調節機序の詳細を明らかにすべく、研究を進めている。本年度は前年度に引き続きproBNPの糖鎖修飾に関与するGALN1及びGALNT2の遺伝子発現調節にmicroRNAであるlet-7の関与について検討し、let-7がGALNT1及びGALNT2の発現調節に関与している可能性を示唆する知見を得た。またシアル酸転移酵素のproBNP糖鎖修飾およびそれに伴うproBNPからBNPへのプロセシングへの関与についてシアル酸転移を生じない変異CHO細胞を用いて検討したところ、proBNPの糖鎖修飾にシアル酸転移酵素が関与している可能性を示唆するデータを得た。更に質量分析を用いた糖鎖構造解析については、野生型ヒトproBNP、及び糖鎖結合を欠如した変異体ヒトproBNPの遺伝子を導入した培養細胞の培養上清を採取し、そこからproBNPを抽出したものを用いて解析をするため、高濃度proBNPを得るためビーズ付きの抗体やカラムでの精製も試みたが、質量分析計での評価で部分的な構造は明らかにしつつあるが今後も継続して解析の予定である。
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