研究課題
1.カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)関連リアノジン受容体変異に関する3Dシミュレーションモデルを用いた検討CPVTは、運動時に重症心室性不整脈による失神、突然死を来す遺伝性不整脈疾患であり、約70%に心臓リアノジン受容体(RyR2)をコードするRYR2遺伝子の変異を認めが、巨大な蛋白なため変異チャネルの機能解析は困難である。本研究では、CPVT症例にて検出されたRYR2変異93個に関して凍結電顕3Dシミュレーションモデルを用いた構造学的検討を行った。結果、アミノ酸の電荷・極性の変化を来す変異だけではなく、チャネルの重要な部位(ドメイン間のヒンジ部、チャネル孔、FKBP蛋白結合部位、Caセンサー)に近接する変異が多く認められ、これらの変異によりリアノジン受容体が容易にCaを放出し催不整脈性を来すと推察された。本研究により、3DモデルがRyR2チャネル機能異常の推察に有用である可能性が示唆された。2.心臓電位依存性L型カルシウムチャネル(LTCC)のイオン選択性異常によるQT延長症候群、ブルガダ症候群オーバーラップ症例における患者由来iPS細胞研究LTCCは、Caイオン選択性に関してイオン孔に”グルタミン酸リング(EEEE)”が非常に重要である。我々は、リングの一つのグルタミン酸がリシン(K)に置換される変異が検出されたQT延長症候群症例において、患者由来iPS細胞を作製し、分化心筋の解析を行った。パッチクランプ法を用いた電気生理学的機能解析では、患者由来iPS細胞分化心筋では、イオン選択性が低下したことによると思われる内向きCa電流の低下、異常な遅延内向きNa電流を認め、健常人由来分化心筋と比較し、有意な活動電位持続時間延長を認めた。これらの機能変化は、患者の表現型に合致する所見と考えら、今後、本iPS細胞モデルを用いた薬効評価を予定している。
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