研究課題
平成30年度の研究実績としては、標的遺伝子を同定するために心筋特異的miR-221/222欠損マウス(miR-221/222 conditional KO;alphaMHC-Cre Tg)と野生型の心臓を用いてプロテオーム解析を行った。マウス心臓サンプルで有意に動いているタンパク質71個を同定した(p-value<0.05; fold change>1.3)。これらのデータを用いてラベルフリー定量アノテーション解析を行い、変動を認めたタンパク質の多くは代謝、分子機能や細胞構造と関係しており、その中で発現上昇を認めたタンパク質は、主に代謝、脂質結合、ミトコンドリア代謝に関与していた。以上より、心筋由来miR-221/222は心臓ミトコンドリアや脂質代謝を制御している可能性が示唆された。さらに野生型に比べ発現上昇を認めたタンパク質よりmiR-221の標的遺伝子についてmiRWalk2.0を用いて 3遺伝子を同定した。miR-221の組織における発現部位の解析に関しては、心臓に比べ、有意に高発現する組織は認めなかった。トレッドミルによる運動負荷装置を用いてmiR-221の運動による組織の発現解析を行った。単回のトレッドミルによる運動負荷(3時間)での心臓での発現は安静時に比べ変化を認めなかったが、3週間の繰り返し運動負荷(3hr/day、3day/week)においては明らかなmiR-221の発現低下を認めた。さらに運動負荷(単回と繰り返し)によりmiR-221の発現を安静時に比べ明らかな上昇を認める組織部位は、大動脈、褐色脂肪細胞、内臓脂肪細胞、骨格筋であった。運動時に血中miR-221の発現上昇を認めるが、その主な分泌・産生組織は心臓以外で大動脈、褐色脂肪組織、骨格筋組織の可能性が考えられた。
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