研究実績の概要 |
a)ラット心筋芽細胞(H9c2細胞)を用いて、ネクロプトーシスを誘導するために、TNF-alpha(TNF, 50 ng/ml)とカスパーゼ抑制薬(z-VAD-fmk: zVAD, 20 uM)の同時投与(TNF/zVAD)を用いた。 b)TNF/zVADによるネクロプトーシスは、rapamycinおよびKu-0063794(Ku)によるmTORC1活性阻害により抑制された。RapamycinおよびKuによるmTORC1活性阻害はRIP1のRXXS配列上のセリンをリン酸化した。RIP1への点変異導入による検討から、mTORC1活性阻害はRIP1-Ser320をリン酸化することが明らかとなった。RIP1-Ser320A導入細胞では、mTORC1活性阻害によるネクロプトーシス抑制効果が消失していた。さらにmTORC1活性阻害は、TNF/zVADによるRIP1-RIP3結合を抑制したが、RIP1-Ser320A導入細胞ではこの効果は消失していた。以上から、mTORC1活性阻害はRIP1-Ser320のリン酸化を介してネクロプトーシスを抑制する可能性が示唆された。 c)TNF/zVAD添加4時間後にオートファゴソームLC3が有意に増加したが、全LC3量に対するオートファゴソームLC3量の割合はvehicle群と同様であった。Rapamycinは、TNF/zVADの有無にかかわらず、全LC3量に対するオートファゴソームLC3量の割合を低下させた。一方で、RIP1阻害薬であるnecrostatin-1はTNF/zVAD存在下において、全LC3量に対するオートファゴソームLC3量の割合を低下させた。RapamycinとRIP1阻害薬投与によりリソソームタンパクの主要な調節因子であるTFEBの核分画での発現が増加していた。以上の結果から、rapamycinはRIP1活性化によるオートファジー障害を抑制する可能性が示唆された。
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