研究課題
本研究では心筋細胞の肥大核におけるDNAメチル化をまずヒトの心筋生検標本にて検討し心機能など病態との関連を調べ、さらに動物の心不全モデルにてDNAメチル化阻害薬によるエピジェネティック介入を行い心不全に対する治療の可能性を探索することを目的とする。平成28年度は本目的の前半部すなわちヒト不全心における心筋細胞核肥大においてエピジェネティック変化(特にDNAメチル化の頻度と核内分布)を検討し心機能や心筋病理など病態との関連を明らかにする計画のもと研究を遂行した。岐阜大学循環器内科と岐阜ハートセンターにて施行された心筋生検症例287例をサーベイし病態ごとに分類整理した。うち心機能低下例を抽出し、光顕切片にてまず心筋細胞肥大、核肥大、変性、線維化、細胞浸潤等の一般病理学的再評価を行った。次にエピジェネティック変化について、メチル化DNAを抗5-メチルシトシン(5-methylcytosine;5-mC)抗体にて免疫染色中である。電子顕微鏡下での一般的超微形態の再評価は施行中であるが、メチル化DNAの超微形態的局在は予備研究通り免疫電顕により一部の標本で確定、すなわちヘテロクロマチンへの集積を確認した。今後、核肥大の程度ならびにメチル化DNA陽性心筋細胞核の頻度と、病態(心機能ならびに病理変化)との関連について付き合わせが必要であるが、それにはさほど時間は要せず、その後平成29年度計画の動物実験にスムースに移行できる予定である。
2: おおむね順調に進展している
おおむね研究計画に沿って研究が進んでいる
研究計画書に添い、動物実験に移行する。
物品費で端数が生じたため。
物品費に使用する。
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