研究課題
本研究の目的は、生体における一酸化窒素(NO)合成酵素(NOSs)系の生物学的多様性を検討することである。具体的には、研究期間の3年間に以下の3つの研究を実施した。「研究1.2/3腎摘triple NOSs-/-マウスの急性心筋梗塞におけるテストステロンの作用の解明」、「研究2.脳梗塞におけるNOSsの傷害的役割の解明」「研究3.代謝症候群におけるNOSs非依存性NO産生系の病因的役割の解明」【最終年度の研究成果】研究2において、中大脳動脈閉塞後の脳梗塞サイズは、オスでは、野生型マウスに比してtriple NOSs-/-マウスで小さくなるが、メスでは、野生型マウスに比してtriple NOSs-/-マウスで大きくなることを見出した。さらに、オスのtriple NOSs-/-マウスで脳梗塞サイズが小さくなる機序には酸化ストレス軽減作用およびミトコンドリア機能障害軽減作用が一部に関与していることをRNA sequencingにより明らかにした。【研究期間全体を通じた成果】研究1では、心筋梗塞において、テストステロンは、NOSs存在下では有益な作用を発揮するが、NOSs非存在下では反対の有害な作用を示すことを明らかにした。研究2では、脳梗塞において、テストステロンは、NOSs存在下では有害な作用を発揮するが、NOSs非存在下では逆の有益な作用を示すことを見出した。研究3では、内因性NOSs系だけでなく外因性NO産生系(食事中の硝酸塩/亜硝酸塩)も代謝症候群の成因に役割を果たしていることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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