研究実績の概要 |
血管内皮細胞での構成的な一酸化窒素(NO)産生蛋白であるeNOSの活性調節に細胞内へのCa2+流入によるCa2+-カルモジュリンシステムが関与するため、青色光依存的にCa2+を流入する膜蛋白hBACCS2(Ishii et al., 2015 Nat Commun)を血管内皮細胞株bEnd.3細胞に遺伝子導入し、青色光を照射し細胞内Ca2+濃度を上昇することに成功した。次のステップとして、eNOSが放出する(NOの検出を試みた。NOの蛍光指示薬であるDAF-2およびDAF-FMを用い蛍光Ca2+イメージングを行ったが、所属する研究室に存在する蛍光システムでは検出できなかった。また、NO上昇の下流で起こるcGMPの上昇を検出するための蛍光イメージングも行ったが、検出できなかった。そのため、生化学的手法(Inoue et al., 2016 BBRC)によるNOの検出も試みたが、遺伝子の発現効率が低いためか検出できなかった。 そこで、今年度はbEnd.3細胞でhBACCS2の安定細胞株を作成・取得を試みたが、取得することができなかった。そこで、別の血管内皮細胞株を用いることとした。血管内皮細胞株であるF-2細胞を購入し、一過性にhBACCS2を導入したところ、青色光依存的にCa2+を流入することは確認された。続いて、bEnd.3細胞の場合と同様にhBACCS2遺伝子の安定株の作成を試みたが、安定細胞株は取得することはできなかった。今後は今まで以上に多くの単離細胞を採取し、安定株取得を試みる。
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