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2016 年度 実施状況報告書

高血圧及びその臓器障害抑制に対する抗サイトカイン療法有効性の実証

研究課題

研究課題/領域番号 16K09522
研究機関順天堂大学

研究代表者

磯田 菊生  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00532475)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード高血圧 / アンジオテンシンII / 大動脈瘤 / サイトカイン / IL-1β中和抗体
研究実績の概要

IL-1Ra欠損マウスの腹部大動脈瘤形成に関する研究を昨年度までの予備実験では、アンギオテンシンII (以下AngII)負荷を3,000ng/kg/minで行っていたが、今年度は生理的濃度に近い1,000ng/kg/minで施行した。この濃度のAngII負荷14日間投与後の腹部大動脈におけるmRNAの発現をRT-PCRで定量評価したところ、IL-1Ra欠損マウスでIL-6 (p<0.001)、TNF-α (p<0.01)、MMP-9 (p<0.001)が野生型マウスより有意に増加していることが分かった。更に血圧もIL-1Ra欠損マウスで野生型マウスより有意な上昇が見られ(p<0.001)、腹部大動脈径も有意に拡大していた(p<0.001)。AngII負荷を28日まで継続するとIL-1Ra欠損マウスは大動脈破裂によりほとんどが死亡してしまうため (89% vs 6%, p<0.01)、AngII負荷を14日で中止し、28日後の組織変化を検討することとした。興味深いことに、14日でAngII負荷を中止したにも関わらず、IL-1Ra欠損マウスで腹部大動脈径拡大が有意に進行していた(p<0.001)。一方、血圧に関しては、28日目には有意差がなくなっていた(p=0.71)。28日目の組織学的検討でIL-1Ra欠損マウスの大動脈周囲には、多数の炎症細胞が見られたが、野生型マウスでは見られなかった。更に、elastin染色では、IL-1Ra欠損マウスで腹部大動脈における著明な弾性板の破壊が見られた。これらの所見はIL-1Ra欠損がAngII負荷中止後の大動脈の炎症を遷延させることで腹部大動脈瘤形成を促進させていることを示唆している。以上の結果を、平成28年の第64回日本心臓病学会学術集会で発表した。
次に我々はIL-1β中和抗体(01BSUR (ノバルティス))による血圧と動脈瘤抑制効果を検討した。IL-1β中和抗体投与により、AngII誘導の高血圧と臓器傷害が抑制されることが示され、次年度に検討を進めていく方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IL-1Ra欠損マウスで生理的濃度に近いアンジオテンシンII投与により、有意な高血圧と腹部大動脈瘤が誘導されることが示され、実験系の確立ができた。
本研究の主眼であるアンジオテンシンII誘導高血圧と大動脈瘤に対するIL-1β中和抗体による抗サイトカイン療法の有効性に関する実験も開始し、著明な改善効果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

IL-1β中和抗体による抗サイトカイン療法の有効性に関する定量評価と機序解明を進めて行く。
また、アンジオテンシンII誘導の腎障害に対するIL-1β中和抗体の有効性に関しても、併せて検討を開始する予定である。

次年度使用額が生じた理由

IL-1β中和抗体入手に時間がかかり、負荷アンジオテンシンIIの追加購入を次年度に行うこととしたため。

次年度使用額の使用計画

IL-1β中和抗体によるアンジオテンシンII誘導の大動脈瘤形成や腎機能傷害に対する抑制効果を証明するため、試薬購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] インターロイキン1受容体アンタゴニストはアンジオテンシンII投与で喚起される動脈の炎症及び瘤形成を抑制する2016

    • 著者名/発表者名
      秋田 耕嗣、磯田 菊生、代田 浩之
    • 学会等名
      第64回日本心臓病学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-25

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公開日: 2018-01-16  

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