研究課題/領域番号 |
16K09522
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
磯田 菊生 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00532475)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サイトカイン / 炎症 / IL-6 / IL-1β / IL-1受容体アンタゴニスト / 抗サイトカイン療法 |
研究実績の概要 |
本年度、我々はIL-1β中和抗体(01BSUR)による血圧と動脈瘤抑制効果を検討した。IL-1β中和抗体投与により、IL-1Ra欠損マウスのAngII誘導の高血圧は有意に抑制され、28日後の大動脈拡大も有意に抑えられることが示された。更に28日目の組織学的検討でも、IL-1Ra欠損マウスで腹部大動脈における著明な弾性板の破壊や炎症細胞浸潤の有意な抑制が得られた。非常に興味深いことに、IL-1β中和抗体投与は野生型マウスにおいても、AngII誘導の高血圧が有意に抑制されることを示した。 我々は更なる抗サイトカイン療法として、抗IL-6受容体抗体(MR16-1)が血管の炎症および動脈硬化に及ぼす効果を検討した。我々は以前の研究で抗炎症性蛋白であるIkBNSをLDL受容体欠損マウスで欠損させると動脈硬化が促進することを示している。今回は高脂肪食投与したLDL受容体欠損(LDL-/-)マウスとIkBNS/LDLrダブル欠損(IkBNS-/-/LDLr-/-)マウスの動脈硬化をMR16-1投与で抑制しうるかを検討した。PBS投与では以前報告したように、IkBNS-/-/LDLr-/-マウスはLDLr-/-マウスと比較して有意な動脈硬化病変形成が見られた。MR16-1投与は、IkBNS-/-/LDLr-/-マウスの動脈硬化形成を有意に抑制した。興味深いことに、LDLr-/-マウスにおいてもMR16-1投与はPBS投与に比較して、有意な動脈硬化病変減少をもたらした。免疫染色では、MR16-1投与はPBS投与に比較してIkBNS-/-/LDLr-/-マウスとLDLr-/-マウスの両方の動脈硬化病変におけるSTAT-3陽性面積を減少させた。これらの結果はMR16-1を用いた抗サイトカイン療法は、IL-6-STAT3シグナルを阻害することで動脈硬化を抑制することが示された。以上を論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、抗IL-1β中和抗体(01BSUR)を用いた抗サイトカイン療法がAngII誘導の高血圧や動脈瘤形成を抑制することを実証することに成功した。 更に、IL-6受容体抗体(MR16-1)を用いた抗サイトカイン療法が動脈硬化を抑制することも実証でき、論文発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに得られた抗IL-1β中和抗体(01BSUR)を用いた抗サイトカイン療法がAngII誘導の高血圧や動脈瘤形成を抑制する機序を解明し、論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
観血的血圧測定用のTelemetry購入に時間を要し、追加備品購入が次年度となったため。
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