研究課題/領域番号 |
16K09527
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒澤 一 東北大学, 環境・安全推進センター, 教授 (60333788)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 広域周波オシレーション法 / 心理評価 / コヒーレンス / MostGraph |
研究実績の概要 |
呼吸は中枢神経系によって支配されており、呼吸が心理状態と深く関連する。本研究は、我々が最近産学連携によって開発した、総合呼吸抵抗測定装置(MostGraph-01、チェスト社)の精度特性を用いて、心理面の評価に有用である可能性探ることが目的である。 まず、これまでのポリグラフモニターシステムと皮膚電極による電気伝導度、加速度脈波測定システム、心拍変動解析、SpO2モニタなどの測定に加えて、MostGraph-01システムを新たに加えた新しい評価システムを構築することにアプローチするため、新しく追加のソフトウエアの作成を目指した。呼吸数、呼吸深度(1回換気量)、I:E比(吸気相と呼吸相の時間比)などの呼吸パターン指標に加え、コヒーレンス等を使った呼吸の安定性やゆらぎに関する指標を新たに記録し表示し、出力可能なようにする仕様を策定した。これらは、機器の開発段階ではすでに実験的に評価してきた指標であり、開発しようとするソフトは、本研究用に機器測定系および結果の出力系をカスタマイズするためのソフトウエアとの位置づけである。機器の試作段階で評価のために一部は作成していたため、それらを組み合わせて、メモリー機能と出力機能をつける基本設計とした。また、これらをポリグラフと同時に記録できるように、MostGraphからの出力端子を新たに作成することとした。現在、妥当性を評価し、測定トライアル中である。MostGraphの評価は、一回の耐えうる検査時間はせいぜい30~60秒である。現在のところ、測定自体が心理状態の「雑音」となってしまう状況を解決するにはどのようにするか、評価方法を標準化するための困難が大きな課題ということがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソフトウエア等については、目途がつけられているものの、実際のボランティアに対する測定に際し、測定の方法が確立できておらず、その測定が遅れている。MostGraphの評価は、一回の耐えうる検査時間はせいぜい30~60秒である。さらに、安静呼吸を意識すればするほど、呼吸はその意識によって動かされてしまい、そのときの心理をマスクする形で、測定による影響が大きく出てしまうようだった。つまり、測定自体が心理状態の「雑音」となってしまっている。この状況をどのように解決するか、測定手順から見直す必要があった。評価方法を標準化する必要があり、今年度の大きな課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に残った課題について、解決をしていき、ボランティアの測定につなげていく。具体的には、より、測定自体の「雑音」が入らないような手順など、測定の標準的な方法を作ることが最優先である。呼吸数と呼吸深度をとりあえずの指標として、「呼吸を意識したときの呼吸」すなわち、「雑音」の本体を解析するところも含み、解決をめざしたい。また、同時に、システムのバグ等の解消を行いながら、ボランティア測定を効率よく行えるような体制をつくりたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
順調に予算を使用してきましたが、残額が5万円強生じてしまいました。物品費等が予定よりも少なくて済みました。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通りの計画としたいと思います。前年度の残額分は、ボランティア測定に関する物品費および人件費などの経費として使用する予定です。
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