研究課題
呼吸は中枢神経系によって支配されている。そのため、呼吸が心理状態と深く関連することは解剖学的見地からあり得る状況であり、実際に古くから呼吸と心理状態の関係が研究されている。本研究は、我々が最近産学連携によって開発した、総合呼吸抵抗測定装置(MostGraph-01およびMostGraph-02、チェスト社)の精度特性を用いて、心理面の評価に有用である可能性探ることが目的である。ポリグラフモニターシステムと皮膚電極による電気伝導度、加速度脈波測定システム、心拍変動解析、SpO2モニタなどの測定に加えて、MostGraph-01システムを新たに加えた新しい評価システムを構築ため新たに作成したソフトウエアを用いて、呼吸数、呼吸深度(1回換気量)、I:E比(吸気相と呼吸相の時間比)などの呼吸パターン指標に加え、コヒーレンス等を使った呼吸の安定性やゆらぎに関する指標を新たに記録し表示し、出力可能とした。健常ボランティアの測定を試み同じ人で繰り返し測定することで、測定にかかわる個人の精神状態という観点での「雑音」の消去で3回目の測定をもって標準化することにした。「意識」をしない呼吸は非常に達成困難ではあるが、そのための訓練や声がけの方法などマニュアル化して、安静呼吸を行わせる標準的な方法を確立させた。使用機器であるMostGraphは、通常の使い方ではないために、実験用に適した状況に改良しなければならなかったが、その改良の試行錯誤に時間がかかった。今後は、反応指標を見極め、測定項目と人数をしぼって実験することにしたい。
3: やや遅れている
使用機器であるMostGraphを通常の使い方ではないために、実験用に適した状況にしなければならなかったが、その改良に時間がかかった。今後は、測定項目と人数をしぼって実験することにしたい。測定の方法は標準化の目途がついている。データの解釈について検討をさらに加えていき、平行して被験者の心理評価を行う。両データの突合については解析途上である。
健常者の当初の予定の測定に感情を刺激した状況での測定をくわえて行くことにする。その際、呼吸の指標と関連が強い反応を検出し、この中で、ポリグラフを行わず、呼吸のモニターを単独で行ったと仮定し、寄与度が高い指標を明らかにする。新しく明らかになった呼吸モニター指標について、新たにリクルートした健常被験者で測定と評価を行い、その妥当性を前向きに検証する。
研究に遅れが生じたために次年度使用額が生じました。次年度は、改良したソフトウエアとシステムを用いて、健常人のデータを引き続きとることと、心理的な刺激を行ってデータをとり、それらをとりまとめて解析するようにしたいと思います。MostGraphでは非常に多くのパラメーターが出力されてきますので、メインのものを抽出するようにして、解析データを絞り込むようにしたいと思います。
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Respiratory Investigation
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