研究課題である「血清抗体を用いた睡眠時無呼吸症候群の脳・心血管イベント発症予測マーカーの同定」の研究3年目として、ほぼ計画通りに進めることができた。 具体的には、初年度から取り組んできた閉塞性無呼吸症候群(OSA)患者の血液検体100例を用いて動脈硬化疾患に関連した自己抗体の同定・解析研究を進めた.初年度,2年次に同定したCOPE抗体,抗NBL抗体につづいて,本年度(3年目)新たな自己抗体-抗SNX-16(Sorting nexin 16)抗体について解析した.具体的には,OSA患者82名,急性冠症候群(ACS)患者96名,健常者(HV)64名を対象に,血清中の抗SNX16抗体値をamplified luminescence proximity homogeneous assay(AlphaLISA)法により測定し,測定値と各種臨床データとの関連性を評価した。OSA患者は診断の睡眠ポリグラフ検査入院時,ACS患者はACS発症時に採取した血清を用いた。 その結果,抗SNX16抗体値はOSA患者とACS患者において健常者よりも有意に高値であった。またOSA患者では重症OSA患者もしくはCVD既往のある患者において有意に高値であった。OSA患者における抗SNX16抗体値は、BMI、AHI、Arousal Index、Mean SpO2、CVD(心血管疾患)既往との相関関係が確認された。また抗SNX16抗体値の上昇は,OSA患者のCVD既往に対する有意な予測因子であった。 本基盤研究Cで同定した3つの抗体-COPE抗体,NBL-1抗体,SNX-16抗体は,それらを組み合わせることでOSAS患者に合併する動脈硬化疾患のバイオマーカーとなる可能性が示唆された.本研究結果は,第59回日本呼吸器学会学術講演会に発表予定である(2019年4月).
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