研究課題/領域番号 |
16K09530
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
赤坂 圭一 新潟大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50364542)
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研究分担者 |
高田 俊範 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (40361919)
田澤 立之 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70301041)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自己免疫性肺胞蛋白症 / サイトカインパネル / 病勢マーカー |
研究実績の概要 |
自己免疫性肺胞蛋白症は、GM-CSF自己抗体による肺胞マクロファージの成熟障害により発症する。しかし、GM-CSF自己抗体は自己免疫性肺胞蛋白症の重症度とは相関せず、予後予測因子にもならないといわれている。全肺洗浄術は自己免疫性肺胞蛋白症の標準治療として実施されているが、術の数カ月後に改善する例や非洗浄肺の改善例を経験する。さらに自己免疫性肺胞蛋白症の自然寛解例もしばしば観察される。これらから、GM-CSF自己抗体以外の液性成分の変化により、肺胞マクロファージが活性化され病勢を改善させている可能性があると考えた。本研究では、全肺洗浄により数カ月後もしくは非洗浄肺に改善を認めた症例を対象に、サイトカインパネルを用いて、血清および肺胞洗浄液の炎症性サイトカインを網羅的に測定している。全肺洗浄術を繰り返している症例において、胸部画像所見、呼吸機能の改善を認めている時期にある種のサイトカインの増加がみられるように思えた。このサイトカインは炎症性サイトカインでHost defenceを高める方向にマクロファージを活性化することで病勢を改善しているように思えた。今後は、GM-CSF吸入療法施行症例、自然寛解症例で定期的に採血が行われている症例を対象に、サイトカインパネル解析を行い、各サイトカイン濃度と病勢との推移を確認して、候補の病勢マーカーを同定する予定である。病勢の評価は、臨床病歴、重症度(Desease severity score)、CTおよび胸部レントゲンの画像所見、血清マーカー(KL-6, SP-D)で行い、これと、候補の病勢マーカーの変化を確認して、普遍的なものであるのかどうかを症例を集積して詳細に検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
都合でどうしても関東への転居が必要となり2016年7月よりさいたま赤十字病院に勤務している。新潟大学へは非常勤講師として所属を続け、私の研究は研究室でなくても多くができるものであり研究を続けているが、しばらくは研究環境を整えることができなかった。 サイトカインパネルの解析を続けている症例については、昨年から現在までに3回の血清を得て、測定を行えている。この結果として、自己免疫性肺胞蛋白症の病状の改善期には、IFN-γ、IL-12、IP-10が高値になるように見受けられた。この症例の解析結果は重要と思われ、まず症例報告の論文を作成する方針とした。 多数症例の解析を進めたいところであるが、新潟大学にある検体の測定を進めるには大学の実験助手に細かな指示をだす必要があり、これを回避して症例報告の論文作成を優先としたため研究の進捗に遅れがでている。
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今後の研究の推進方策 |
勤務先での研究環境を整えている。今までは新潟大学で検体を保存していたが、冷凍庫を購入して埼玉赤十字病院で検体を保存するようにして、検体の出し入れをスムーズにする。また、勤務地近隣の大学病院である獨協医科大学越谷病院所属の者を研究分担者に加え、同院の共同研究室でELISA法等をできる体制を整えた。 検体は集まっているので、積極的に解析をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体収集とデータベース作成が主体であったため、出費がほとんどなく、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
測定を積極的に行い、海外学会発表も行い、論文作成を行う。
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