研究課題/領域番号 |
16K09534
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷澤 公伸 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (20639140)
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研究分担者 |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (90197640)
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
半田 知宏 京都大学, 医学研究科, 助教 (10432395)
佐藤 史顕 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20467426)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サルコペニア / 慢性呼吸不全 / 間質性肺疾患 / 睡眠時無呼吸症候群 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は慢性呼吸器疾患、とくに脳死肺移植待機中の慢性呼吸不全、間質性肺疾患および睡眠時無呼吸症候群におけるサルコペニアの意義と病態を、画像解析ならびに患者検体の蛋白および遺伝子の網羅的な発現解析によって明らかにすることである。平成29年度は、1)睡眠時無呼吸症候群における骨格筋量と重症度の関連、2)睡眠呼吸障害における遺伝的要素の寄与、3)肺移植待機中の慢性呼吸不全患者において骨格筋量と予後の関連を検討した。1)、2)はpeer reviewのある英文誌に受理され、発刊された。3)は学会発表、論文化を目標に解析を進めている。平成28年度に引き続き、4)肺移植待機中の慢性呼吸不全患者において、plueroparenchymal fibroelastosis(PPFE)といわれる特徴的な画像所見が予後に与える影響、5)サルコイドーシスにおける健康関連QOLと長期予後の関連を論文化し、投稿中である。PPFEは胸郭変形や体重減少との関連が報告されており、続報としてサルコペニアとの関連を検討する予定である。サルコイドーシスの健康関連QOLと長期予後が有意に関連することが明らかになっており、引き続き健康関連QOLとサルコペニアの関連を検討する。また、5)特発性肺線維症をはじめとする難治性間質性肺疾患において、オミックス解析によるバイオマーカーの包括的探索を行うために、血液検体及び肺組織検体を前向きに集積している。5)この前向き研究 では、画像や健康関連QOL、運動耐容能も併せて評価しており、症例の蓄積および長期の経過観察とともに、難治性慢性呼吸器疾患に おけるサルコペニアの臨床的意義、新規バイオマーカーと治療標的の同定が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存の臨床データを用いた解析はおおむね順調に進展しており、1)睡眠時無呼吸症候群における骨格筋量、骨格筋濃度の意義、2)睡眠呼吸障害における遺伝的要素の関与については、peer reviewのある英文誌で論文化された。一方、1)慢性呼吸不全患者におけるPPFE所見の意義、2)サルコイドーシスに おける健康関連QOLの予後予測能は、いずれも論文投稿中であるが発刊には至っていない。これらの研究は、慢性呼吸器疾患において、サルコペニアやそれに関連しうる胸部の画像所見、健康関連QOLが臨床的な意義を持つことを示しており、サルコペニアおよびその関連因子の研究が妥当性を有することを示唆している。また、1)慢性呼吸不全患者における骨格筋量の意義、2)サルコイドーシスにおける骨格筋量の意義を検討するかたちで、継続的な臨床研究が行われている。難治性間質性肺炎におけるオミックス解析は、引き続き症例および検体の集積を進めている。特定のバイオマーカーやサルコペニア関連因子の同定には至っていないが、症例の登録、縦断的なデータおよび検体の集積は順調である。検体の保存を含めてオミックス解析を行うための体制は十分に確保されているが、オミックス解析そのものには着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
1)脳死肺移植待機中の慢性呼吸不全患者を対象に、CTで計測した骨格筋量と各種指標、予後の関連を検討する。現在、論文投稿中のPP FE所見に関する研究内容も踏まえて、肺野の画像所見と骨格筋量の関連も検討する。これらは既存の臨床データを用いた解析であり、 平成30年度内の論文投稿を目標とする。 2)サルコイドーシスを対象に、CTで計測した骨格筋量と各種指標、健康関連QOL、予後の関連を検討する。現在、論文投稿中の健康関 連QOLと予後に関する研究内容も踏まえて、解析をすすめる。これらは既存の臨床データを用いた解析であり、平成30年度内の論文投稿を目標とする。 3)特発性肺線維症を対象に、サルコペニア評価やオミックス解析も含めた包括的検討を行う。平成30年度内にサルコペニアに関連したバイオマーカーや液性因子の同定を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予定した特発性肺線維症の患者検体を用いたオミックス解析に着手できなかったため。解析可能なかたちで検体の集積を進めており、平成30年度に新規バイオマーカーの探索を目的としたオミックス解析を行う予定である。
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