研究課題
本研究では、COPDの病態において、主に蛋白分解酵素に焦点をあて、マウス実験による結果とヒトCOPDの胸部CT画像変化を対比し、肺胞破壊の機序を推定することを目指している。1ヒトCOPDの前向き観察研究は、胸部CT画像の3D解析を行った。気腫病変の進行がフラクタル性を示すことは2Dの先行論文で発表済みであるが3D解析により、気腫がある程度進行すると、フラクタル性から外れる巨大気腫=super clusterが出現すること、この出現には気腫の重症度の閾値が存在することを見いだした。また、CT画像上の気腫と、酸素吸入下MRI画像との比較により、気腫の不均一性が酸素化に与える影響を検討し、報告した。2 マウス実験では約半年間の長期喫煙曝露を行い、マウス気道上皮細胞の傷害と再生様式を観察した。クラブ細胞と線毛上皮細胞の総数に変化はなかったが、アンチプロテアーゼが欠損する上皮特異的C/EBPαKOマウスでは線毛上皮細胞の減少を認めた。形態的には線毛上皮細胞の短縮、扁平化、連続性の減少(図C)を呈し、ヒトCOPDの気道上皮との類似性を示した。肺上皮特異的に遺伝子を改変したScgba1a-rtTACre-TdTmマウスにおいておよそ半数以上の線毛上皮細胞がGFP陽性を示し、これより喫煙による肺傷害後にクラブ細胞からの線毛上皮細胞への分化・再生が繰り返されていることを示した。この現象はC/EBPαKOマウスでは有意に乏しく、プロテアーゼによる影響が考えられてた。喫煙の半年間にセリンプロテアーゼ阻害剤であるBPTIを気管内投与することにより線毛上皮細胞の分化はC/EBPαKOマウスにおいてレスキューされた。
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