研究課題/領域番号 |
16K09537
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木田 博 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80512988)
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研究分担者 |
井上 義一 独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 臨床研究センター長 (90240895)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 抗MX1抗体 / REDCap / 自己免疫性肺胞蛋白症 / 自己抗体 / INSIP / IPF |
研究実績の概要 |
これまでの研究で我々は、びまん性肺疾患の網羅的血清自己抗体検索により特発性肺線維症(IPF)、特発性非特異的間質性肺炎(INSIP)、自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)、サルコイドーシス(SAR)特異的自己抗体をそれぞれ同定した。次に、INSIP特異的自己抗体の一つである抗MX1抗体に着目し、血清抗MX1抗体を測定するELISAを開発し、横断的研究を行ったところ、抗MX1抗体は慢性特発性間質性肺炎の17.5%で陽性となり、また抗ARS抗体と同時に陽性となるケースはほとんどないことを示した。さらに国立病院機構近畿中央胸部疾患センターのレトロスペクティブコホートを用いた研究で、抗MX1抗体陽性症例は同コホート内non-IPF症例中、予後良好群であることを示し、以上の結果を論文報告した(Scientific Reports 2017)。近年提唱されているInterstitial Pneumonia with Autoimmune Features (IPAF)と抗MX1抗体陽性慢性特発性間質性肺炎との関係を検討したところ、IPAFに含まれない抗MX1抗体陽性症例が相当数存在することが判明した。抗MX1抗体がIPAFの概念を拡張する自己抗体であることを示した(第3回日本骨免疫学会 2017)。REDCapシステムを用いた抗線維化剤使用症例の多施設前向き登録研究も開始され、これまでに計34症例を登録し、血清、ゲノム保存を行い、自覚症状、血液検査、QOL、肺機能等を継続調査登録している。 aPAPにおける病原性自己抗体(モノクローナル抗体)を作成する研究を開始した。GM-CSF反応性B細胞を患者末梢血より濃縮するためのプローブを作成した。国立病院機構近畿中央胸部疾患センターaPAP患者5名より採血を行い、血漿及び末梢血単核球を保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
REDCapシステムを用いた抗線維化剤使用症例の多施設前向き登録研究については一定数の症例登録はなされたが、未だ症例登録が遅れている。aPAPにおける病原性自己抗体(モノクローナル抗体)を作成する研究については、GM-CSF反応性B細胞を末梢血単核球より濃縮する条件設定に時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
REDCapシステムを用いた抗線維化剤使用症例の多施設前向き登録研究については今後も積極的に登録を呼びかけていく。aPAPにおける病原性自己抗体(モノクローナル抗体)を作成する研究については、GM-CSFプローブを用いたGM-CSF反応性B細胞を濃縮する方法と並行して、バイオインフォマティクスによるクラスター技術を用いる方法を取り入れていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
GM-CSF反応性B細胞濃縮のための条件設定に時間を費やしたため、次のステップへ進めなかった。本年度はB細胞レパトア解析を中心とした研究に使用する予定である。
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