研究実績の概要 |
我々は、蛋白アレイ法を用いた網羅的検索により、特発性非特異性間質性肺炎(INSIP)を含む4つの原因不明の慢性びまん性肺疾患の疾患特異的自己抗体群を同定した(Hamano Y et al., 2017)。疾患特異的自己抗体群は、疾患病変部で過剰産生、異所性産生された蛋白、non-coding RNAに対する抗体であり、その機能は十分に明らかにはされていないが、疾患病変部を構成する分子群を反映している(Fukushima et al., 2020)。INSIP特異的自己抗体の1つ抗MX1抗体測定ELISAを開発した。抗MX1抗体は慢性特発性間質性肺炎の17.5%で陽性となり、また同じくINSIP特異的自己抗体である複数の抗ARS抗体陽性とならない、サブグループを認識する。抗MX-1抗体陽性によってクラスタリングされるサブグループは、慢性特発性間質性肺炎全般と比較すると予後良好群であることを示した(Hamano Y et al., 2017)。この分析を深めるために、前向きにコホートを作成(REDCapシステムを用いた多施設コホート)するとともに、後向きに、慢性間質性肺炎の患者を、予後に強く影響する努力肺活量(FVC)の経時変化によって層別化する方法を開発した(論文作成中)。 aPAPは抗GM-CSF自己抗体を原因とする疾患である。抗GM-CSF自己抗体はポリクローナルである。我々は計12名のaPAP患者の末梢血より、B細胞単細胞ソーティング法により、これまでに計69個のB細胞受容体可変部領域のDNA塩基配列情報を得るとともに、同数の抗GM-CSFモノクローナル抗体を作成した(第48回日本免疫学会学術集会にて発表)。DNA塩基配列情報を用いた立体構造予測クラスター分類や作成したモノクローナル抗体を用いた対GM-CSF結合アフィニティー、GM-CSF阻害活性評価の系を確立した。
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