研究課題
これまでに報告されているレタスアレルギーは口腔アレルギー症候群やレタス経口摂取後のアナフィラキシーや職業性皮膚炎を含めた全身性反応に限定されている。本研究の目的は、レタス関連呼吸器症状の臨床的特徴を明らかにし、アレルギー症状を引き起こす原因抗原を同定することである。方法として、1168人のレタス栽培農家に質問票を送り、同意の得られた人を対象に臨床検査を行った。また、患者血清を使用して、SDS-PAGEや免疫ブロッティングを行い、IgE結合型タンパクのバンドを質量分析により解析した。全部で932人の協力が得られ(質問票の回収率79.8%)、6.8%でレタス誘発性の呼吸器症状が見られた。14人のレタス関連呼吸器症状のある患者の協力が得られ、臨床検査を行ったところ、活性化好塩基球が健常人と比較して有意に高かった(P<0.05)。また、RAST試験は50%に陽性、皮膚プリックテストは64.3%に陽性であった。注目すべきこととして、一人は吸入誘発試験が陽性で、レタス関連気管支喘息と診断された。IgE結合バンドは50%以上の患者血清で認められ、34kDaのprobable carboxylesteraseと51kDaのepidermis-specific secreted glycoprotein EP1-like と同定された。今回の研究により農作業関連呼吸器症状の2つの新しい原因抗原が同定できた。この抗原はELISA法などの診断法の開発に利用できると期待される。
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